どなたの知恵か分からないが、森友学園が小学校の設立認可申請を取り下げたのは、窮余の一策とは言え森友学園問題の鎮静化にそれなりの効果があることは間違いない。
お、撤退戦に入ったな、というところである。
森友学園についてはあまりにも不審な点が多過ぎて、設立認可申請をそのままにしていたのではマスコミの絶好の餌食になっていたことは間違いない。そのうちに稲田さんのご主人の名前が表に出てくるのだろうな、と思っていたが、小学校の設立認可申請が取り下げられてしまうと、大阪府の私学審議会も大阪府もしばらくの間は森友学園問題に関われなくなってしまう。
多分森友学園が大阪府に提出した資料などは返還請求の対象になるのだろう。
設立認可申請そのものの取り下げをそう簡単に大阪府が認めるのか分からないが、結局は認めざるを得ないだろうし、書類の審査もそれ以上は出来なくなる。
不許可になることが明らかだったら、直ちに取り下げて他日を期せ、書類が不備の場合は補正をしたうえで改めて出し直せ、というのがこういう場合の鉄則だから、どなたかがそういう知恵を授けたのだろう。
ずいぶん杜撰で無防備なことをやる人だなあ、と思っていたが、この撤退戦略はそこそこのものである。
まあ、それでも内容虚偽の書類を作成提出して、それで国から現に補助金の支給を受けてしまっている以上、ヴィッツ学園のような問題になるでしょうね、というのが私の現時点での見立てなのだが、これはあくまで国が告訴するか、警察や検察が自ら動き出してからの話なので、当面は今の状態が続く。
森友学園問題は放っておくと安倍総理や安倍内閣にとって大きな瑕になりそうだったが、多分、これで当面の間は安倍総理も官邸も一呼吸付けることになったはずだ。
森友学園の籠池理事長の記者会見に合わせるように、南スーダンのPKOから自衛隊が撤収するという安倍総理の緊急記者会見が行われた。
え、なんでこの時期に、と思わないでもないが、多分、これもこれ以上安倍内閣の支持率低下を齎さないようにするための鎮静化作戦の一環なんだろう。
まあ、官邸は色々やるものだ。
確かに今は、あれやこれや火消しに回らなければならないことが多い。
もっとも、これで世論がどう反応するかはまったく分からない。
次の一手も考えておいた方がよさそうですね、ぐらいなことは言っておいた方がいいかしら。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年3月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。