日本の水産業をリードする長元信男・東町漁協代表理事組合長

人に会い、町に出るのが大好きです。

旅行業界誌トラベルジャーナルの「地域を彩る」というコーナーで、2年間、ご縁をいただいた方を紹介してきましたが、今回(2017年3月6日号)が最終回。

最終回は、長島町で最もお世話になった方の一人 長元信男・東町漁協代表理事組合長と、阪急交通社との連携について書きました。

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「7400万円でマグロを買うなら、俺のブリも100万円で買うてくれ(笑)」さっきまで、すしざんまい(喜代村)の木村社長に電話しとったんよ。

相手の懐に飛び込み、すぐに仲良くなるのが、長元ながもと信男のぶお・東町漁協(鹿児島県長島町)代表理事組合長の特技。銀座の飲み屋で仲良くなった歌手には、テーマソング「鰤王」を制作してもらう。そのユーモアと人柄、まめさで組合員を束ねる。

組合員のための漁協」「現状維持はあり得ない」を追求し、1968年に始めたブリ養殖は今や世界一。徹底した品質管理とトレーサビリティで、「鰤王」ブランドを確立。日本で初めてEUのHACCP認証を取得し、職員・組合員が力を合わせた共販体制で29か国に輸出する。日々、カイゼンを重ね、国際展開するブリ業界のトヨタ自動車だ。

昨年度は日本で初めて、漁協として株式会社JFAを設立。近海魚は獲れ過ぎると価格が下がってしまう。JFAが魚市場の競りに参加することで、安価になりやすい魚をしっかり買い支える。少しでも漁師の所得を向上したいとの思いだ。

JFAでは、ネット版道の駅「長島大陸市場」や、東京都心を回遊するキッチンカー「長島大陸ブリうま食堂」などBtoCの事業にも力を入れる。

昨年11月、長島町は全国の自治体で初めて阪急交通社と観光振興に関する連携協定を締結。“地域超密着”で付加価値の高い商品の開発を目指す。既に2000名以上が阪急交通社のツアーで長島町を訪問しているが、人気はやはりJFAの「長島大陸市場食堂」。その日水揚げした新鮮な魚だけを提供するので店内には「美味しい!」という声がこだまする。

「冬はアオサのブリしゃぶにするといいですよ。」「せっかく漁港に来るので、漁師がブリをさばいている姿を見たい。」長島大陸市場食堂では、全国でツアーを制作してきた阪急交通社のプロのアドバイスを素早く反映する。風を読み、潮目を読む中で培われた「まず行動する」という漁師精神の表れだ。

今年1月、町と漁協が連携して、大阪のフリースクールでブリさばきの寄付講座を開催した。初めて丸一本のブリを見て触る都会の子供たちは、飛び上がって喜ぶ。現在、餌やりや加工場見学など地元では当たり前だが都会の人には珍しいコンテンツと併せて、新しい体験型修学旅行をつくれないか、阪急交通社と一緒に検討しているところだ。

漁港そばの長元組合長の御自宅には、集落や漁協・組合員の方々、水産庁や県の職員、海外の取引先など多士済々が集う。子供たち、孫たちに囲まれて、夜な夜な開かれる宴会では、笑い声が絶えない。そして、そこから新しいチャレンジが次から次に生まれている。日本の水産業をリードする一人だ。

2年間ありがとうございました。
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<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68458684.html

<井上貴至の働き方・公私一致>
東京大学校友会ニュース「社会課題に挑戦する卒業生たち
学生・卒業生への熱いメッセージです!
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68581524.html

<井上貴至の提言>
杯型社会に、求められること
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68619160.html


編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2017年3月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。