籠池砲と表記している週刊誌が出てきたが、確かに森友学園の籠池理事長は安倍内閣にとっても維新にとっても厄介な存在になりそうである。
安倍内閣が吹き飛ぶようなことはないが、安倍内閣の閣僚の一人が相当傷付きそうな雲行きになってきた。
厳密な意味で稲田防衛大臣が森友学園の顧問弁護士であったか、ということになると、多分稲田氏本人と森友学園の間には法律顧問契約まではないだろうな、というのが弁護士として40年余りを過ごしてきた私の直感である。
顧問か顧問でないか、と問われると、偶々特定の訴訟事件で訴訟代理人を引き受けたことがあっても、包括的かつ継続的に森友学園の相談に乗った事実がなければ、まず顧問とは言えない。
訴訟の代理人と顧問は明らかに違う。
しかし、一般の方はそういう場合でも訴訟事件の代理人を引き受けてくれた弁護士を、うちの先生、うちの弁護士、うちの顧問などと言ってしまうことがあるから、時には訴訟代理人を引き受けた弁護士が困惑してしまうような場合も出てくる。
稲田防衛大臣のご主人も弁護士で、ご夫婦で法律事務所を経営されているようだから、森友学園の方では稲田法律事務所が顧問弁護士の事務所だと世間に吹聴したことがあるのではないか。
森友学園の小学校設立認可申請や国有地払い下げに稲田法律事務所が関わっていたという具体的事実はどこからも出ていないのだから、稲田防衛大臣が森友学園の顧問ないし訴訟代理人だったことがある、という事実そのものは稲田氏の閣僚や国会議員としての資質に何の関わりもないことだが、しかし安倍内閣としてはちょっと面倒なことになってきた。
森友学園の籠池理事長と個人的な面識があることを認めてしまうとあらぬ疑いを招くことになるかも知れないという心配から、どうも過剰に籠池氏との関係を否定してしまったような印象が残ってしまった。
何でもないことを、何か重大な問題がそこにあったかのような印象を残してしまったのは、明らかに失敗だろう。
さて、こういう場合どうするのがいいか。
元々は大した問題ではなかったのだから、勘違いをした、とか舌足らずだった、と早め早めに釈明するのがいいだろうと思っているのだが、さて、官邸の皆さんはどうアドバイスされるのだろう。
森友学園の本当の問題点はそこにはない、というのが私の見立てである。
いずれにしても、どこかの段階で籠池理事長を国会に参考人として招致する必要性が高くなっている。この問題は、さっさと片を付けられた方がいい。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年3月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。