経済産業省の全執務室施錠問題:異常な情報管制の発想か

先月27日、経済産業省が「すべての部屋に鍵を掛けて報道機関などの入室を禁止するとともに、職員に対し、原則、取材を受ける際は書記係を立ち会わせて内容を報告させるなどの取材対応を通知」したとのことで、大手メディアを中心に「密室化は不信を招く」(朝日新聞社説)とか「異常な情報管制の発想」(毎日新聞社説)とかと一斉に「世耕大臣は考え直せ」(東京新聞社説)と反発しています。

今、米国を例に見ても「大統領選時、オバマが盗聴」(トランプ氏)や「トランプ氏当選のためロシアがサイバー攻撃」(CIA)等と世は情報漏洩に纏わるニュースが溢れているわけですが、言うまでもなく漏れてはいけない国家機密は何時の時代も数多あります。正に企業のインサイダー情報以上に、公表されるべき内容・タイミング等々を様々考慮し非常に注意する必要性がありましょう。

経産省が「企業の生き死にに関わるような情報を扱っているなかで、受付さえ通ればどの部屋にも出入り自由という状況になっていた」(世耕弘成経産相)というのであれば、「一定のルールを敷くのは自然なことじゃないか」(菅義偉官房長官)と私も思います。

01年の米同時多発テロに際し当時の「田中真紀子外相が国防総省の避難先を記者会見でしゃべってしまった」のは論外ですが、「透明性、可視化の時代」(小川一毎日新聞社取締役)と言って何でも彼でも公にするのではなくて、情報管理ということはある程度必要だと思います。

同時に片一方で国民の「表現の自由」(日本国憲法21条1項)から導かれる「知る権利」が侵害されてもいけませんから、経産省を一概にシャットアウトし何も漏れてこない状況にするのも問題だと思います。また現況は、中央省庁1府11省1庁の内「経産省以外に全ての部署を施錠しているところ」がないというのも事実です。

従って経産省は先ず、①漏れていい情報、②漏れてはいけない情報、③漏らすべき情報(公開するのが当たり前の情報)、といった形で情報区分を明確にすべきでしょう。その上で現行のやり方を改め、新たな方針の下、各種情報を適切に管理して行く体制を再構築すべきだと思います。

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