高校生の勉強に関する意識調査 日米中韓を比較すると

国立青少年教育振興機構が『高校生の勉強と生活に関する意識調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較-』を公表した。深刻な報告書だが報道は少なかった。

報告書には次のようなことが書かれている。勉強の仕方では、「試験の前にまとめて勉強する」が日本は69.3%で、4カ国中最も高い。一方、「自分で整理しながら学ぶ」38.8%、「できるだけ自分で考える」33.3%、「勉強した内容を実際に応用してみる」10.2%は、いずれも他国よりも低い。授業態度では「きちんとノートをとる」が79.4%で4か国中最高。一方、「授業中、積極的に発言する」3.7%(中国は17.2%)、「グループワークの時には積極的に参加する」25.3%(米国は68.1%)である。「授業中、居眠りをする」は15.0%で、米国3.8%・中国3.3%・韓国8.4%よりも多い。

授業ではきちんとノートを取るが一夜漬けで試験に臨む、受け身の高校生が他国に比較して多いとよくわかる。しかし、このような学習姿勢の責任は与える側にもある。

「教科書に従って、その内容を覚える授業」がほとんどという回答は日本の41.7%が、中国の50.6%に次いでいる。一方、「教科書以外の本、模型、現物など、いろいろな教材や教具を使って教える授業」は日本が25.0%であるのに対して、米国46.4%・中国68.9%・韓国32.1%。「個人で調べたり、まとめたり、発表する授業」は日本16.6%・米国62.0%・中国44.9%・韓国28.5%で、「グループで課題を決め、考えたり調べたりする授業」は日本11.9%・米国28.8%・中国57.1%・韓国34.9%である。

日本の生徒は教員の言うことに耳を傾けるだけで、個別学習や協働学習の機会は与えられていない。それが受け身の学習姿勢を生む。

情報通信技術の活用でもわが国は他国と異なっている。「インターネットでの勉強は効果的だと思うか」という質問に対して「とても効果的」「まあ効果的」の合計は、日本65.2%・米国87.0%・中国66.7%・韓国72.8%と過半数の生徒が効果的と認識している。しかし、授業での利用は少ない。文書作成は日本20.8%(米国85.6%)、表計算13.1%(米国27.1%)、プレゼン11.1%(米国74.5%)、ブログ投稿8.0%(中国29.6%)、プログラミング4.8%(韓国23.4%)と、もっとも利用が進んだ国と大差がついている。「インターネットで学習の情報や資料を調べたり、収集したりすること」61.3%、「インターネットでニュース関連の情報をみること」71.0%。「学習ソフトやアプリを使って勉強すること」29.2%、「メールやチャット(LINEを含む)で先生や友だちにわからないところを質問すること」52.3%、「塾のホームページや動画サイトなどで講義や授業の動画をみること」19.7%、「インターネット上にある練習問題や試験対策問題を解くこと」13.7%、「インターネット上の質問サイトにわからないことを質問すること」7.0%のいずれも、最低か3番目。特に、学習ソフトで勉強する、塾の授業動画をみる、インターネット上の練習問題を解く、質問サイトに質問するの低さは際立っている。

情けないことに、わが国での高校教育は旧態依然である。改革を進めないと国家競争力にも大きな影響を及ぼしかねない。