幻冬舎の竹村優子さんから、プチ鹿島さんの『芸人式新聞の読み方』を頂いた。
出版界屈指の超絶美人編集者と、気鋭の時事問題芸人の最強タッグに、私は打ちのめされた。そうか、そうきたか。これは、ハンセン、ブロディ組並みの最強コンビだ。
これは筋が良い企画だ。もともと時事問題に強いことで有名で、TBSラジオなどでも人気者のプチ鹿島さんにメディアリテラシーの本を書かせるとは。いや、これは知りたいノウハウだ。敷居が低い上に深い。
まず、帯に佐藤優さんのコメントを載せている時点で反則だ。最近、池上彰さんとメディアリテラシーの本を出したばかりの佐藤優さん。情報収集マニアと呼ばれている彼がすすめている時点で反則だ。いきなり凶器を出されたような、あるいは後藤洋央紀選手がカメラにどアップの状態で対戦相手の中邑真輔に「次、何やるんだっけ」と言ってるシーンが映ってしまった並みの衝撃だ。
なんせ、内容が、いい。各紙の特徴を「芸風」と呼んでいる。各紙をキャラにたとえており、わかりやすい。いちいち的確すぎて唸ってしまう。どの新聞がどんなキャラなのか。それは読んだ時のお楽しみということで。
さらに秀逸なのは、スポーツ新聞の読み方まで指南していることだ。これはいい。そう、スポーツ新聞もまた大事な情報源なのだ。師匠海老原嗣生さんの、日経と夕刊紙を読みくらべるという技を思い出した。
SMAP解散騒動の報じられ方を題材としたケーススタディなどわかりやすい。そう、このわかりやすい面白いというのは芸人ならではだろう。
ポストトゥルースの時代である。情報の宇宙に私たちは生きている。偽ニュースにより国家間の緊張が高まったり、選挙に影響が出る時代だ。そんな時代をしなやかに生き抜くヒントに満ちた本だ。勇気をもらった。
新聞好きとしては、あらためてこれが有益な情報源だと気付いた。4歳から新聞を読んでいるのだが、新聞と向き合うことは単なる情報収集ではなく、時代を、そして自分自身を問う行為なのだ。
それにしても、この有益な本が1400円程度で手にできるとは。日本のデフレは深刻だ。自分で買おうと思っていたのに、絶世の美人編集者から頂き。社会貢献しない奴と、昔、高知県民に罵倒されたことがあったが、少しでも社会に役立つよう絶大なる経済力で何冊か買って勉強熱心な学生に渡すことにしよう。
プチ鹿島さんがその場で話しているかのような、面白い本だった。その面白さとは、筆の力、話芸だけではなく、新聞を日々読んでいる人ならではの人間としての厚さ、深さによるものだろう。
報道への圧力が話題となるが、情報の海から生きた情報、知識を探すヒントがいっぱいだった。社会に絶望しないですんだ。
フレッシャーズシーズンだ。新たに新聞を契約する人も多いことだろう。その副読本として、いや教科書、強化者としてぜひ。
よかった。プチ鹿島さんのこの本に出会えて、私は本当によかった!
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年3月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。