医師が警鐘!月曜日の午前中は危険な「心の魔の時間」

写真は石黒医師

世の中には医師の書いた医学書が溢れている。しかしその見解は医師によって大きくわかれている。患者は不確実な情報のなかで取捨選択を迫られる。しかし、知るだけで患者に役立つ医療情報も存在することをご存知だろうか。

ここに一冊の興味深い本がある。『正しい時間の使い方が、あなたの健康をすべて左右する』(東洋経済新報社)である。著者の石黒源之(以下、石黒医師)は、医師、医学博士であり、岐阜市で石黒クリニックを開業し地域に密着した医療を提供している。

現在は、医療法人社団医源会理事長、岐阜大学医学部臨床准教授、岐阜薬科大学非常勤講師、特別養護老人ホーム寿楽苑嘱託医、岐阜在宅医療研究所所長なども歴任する、臨床医のスペシャリストでもある。

■だから月曜日の商談を回避せよ

――石黒医師によれば、月曜日の午前中は、いちばん危険な「心の魔の時間」だそうである。よって、心に不安を感じている人の日曜日の夜から月曜日にかけてのケアが非常に重要なものになる。

「マンデー症候群(月曜病)という言葉があるように、仕事と体調の関係の中にもブラックタイムは存在しています。みなさんは、大事な商談や会議をいつも何曜日に設定しているでしょうか。毎日忙しいので土日に資料の準備をして、月曜日の朝に商談の予定を入れるという人は少なくないと思います。」(石黒医師)

「じつは、1週間のリズムを考えると、月曜朝の商談の成功率は低くなります。月曜日というのは1週間の中のブラックタイムですから、気づかないうちに体調が悪くなっていて、それが仕事の結果にも影響するわけです。」(同)

――日曜日の夕方になると月曜日からの仕事が気にかかり、食事がおいしくなくなる。イライラする、寝つきが悪くなる、月曜日の朝は眠くてしょうがない、そんな人は要注意とのことだ。これは、サラリーマンに限ったことではないので振り返ってもらいたい。

「学校や職場におけるストレスは、自分が意識しないうちに受けていることもあります。ふだん『人がいい』といわれる人、人と争うのが好きではないという人は、いつも自分の欲求を抑えて行動をしがちです。それが知らず知らずのうちにストレスになり、マンデー症候群に陥っていく可能性が高まります。」(石黒医師)

「できれば、ウィークエンドになるような木曜日、金曜日に入れるとよいでしょう。『大事な商談』や『ストレスのかかる仕事』は月曜日ではなく、木曜日か金曜日に入れるべきでしょう。」(同)

――真面目な人ほど「マンデー症候群」に陥りやすい。いくつかの解決方法があるが、「大事な商談」や「ストレスのかかる仕事」は月曜日の朝にスケジューリングしないほうが賢明かもしれない。

■ブラックタイムは役立つ医療情報

――さて、石黒医師はこのような法則について、いつ気づいたのだろうか。

「若い研修医の頃は急患の患者さんが運ばれてきて夜中に起こされます。ものすごく大変でしたが、ブラックタイムの知識のベースは、私がそうやって体で気づいたことのひとつです。また、山間の僻地診療所に勤めていたときは、閉鎖社会ですので村人の症状がもれなくつかみやすく健康の年内変動(リズム)にも気づくことができました。」(石黒医師)

「ブラックタイムは、知ってさえいれば対処ができます。その対処が的確であれば(間違っていなければ)、結果はまったく異なるものになるでしょう。」(同)

――本書は知るだけで患者に役立つ医療情報である。石黒医師の、臨床医としての「37年間の研究と経験」の書き下ろしでもある。突然の事故や病気から、あなたと家族を守るためにも参考になるのではないかと思う。

参考書籍
正しい時間の使い方が、あなたの健康をすべて左右する』(東洋経済新報社)

尾藤克之
コラムニスト