「籠池氏喚問は偽証罪告発のため」と矮小化しないこと

早川 忠孝

罠を仕掛けようとしたら自分が罠にかかってしまうことがあるから、決して姑息なことは考えない方がいい。

籠池氏の証人喚問が正式に決定したようだから、衆参の予算委員会の方々はしっかり準備されることだ。

籠池氏の証人喚問は籠池氏を偽証罪で告発するためだろう、などと邪推する論稿を読んだが、予算委員会での証人喚問はあくまで真相の解明のためであって、証人喚問の形態を取ったのはあくまでその場限りのいい加減な証言をさせないための一種の担保のようなものであり、仮に虚偽の証言を籠池氏がしたからと言って、籠池氏を偽証罪で告発することには何のメリットもない。

下衆の勘繰りの類ですね、というところだ。
既に報道されているところだけで籠池氏には様々な疑惑が満載で、いつでも捜査当局の捜査の対象になり得る存在だ。

事実上大阪府や国の刑事告発を待っているだけと思われる人を、そもそも本筋ではない議院証言法違反で摘発しようなどということを知恵のある人たちが考えるはずもない。あくまで、本当の事実を解明しよう、これ以上あることないことを言われて、内閣や国会議員に対する不信の念を増幅させるような事態になることを何とか防止しよう、そういう観点からの証人喚問の実施のはずである。

この際、徹底的に真相の解明に努められたらいい。
現在の状況は、灰色よりも、相当黒に近い印象を多くの国民に与えているはずだ。
いくら何でもこれはまずいぞ。

総理の汚名を返上しなければならない。
内閣の汚名を返上しなければならない。
自民党の汚名を返上しなければならない。

大方の良心的な自民党の国会議員の皆さんはそう思ったはずだ。

参考人招致という迂遠な手段でなく、いきなり証人喚問となったのは、それだけ緊急性がある、と判断されたからであろう。

自民党さん、危ないですよ、と言っておられる方は、決して自民党のためを思ってそう発言されているわけではない。

あくまで、ご自分の担当されている刑事事件の経験を踏まえて、その延長上からの雑感程度だろう。
そう、気にされる必要はない。

今回の証人喚問は重要である。
よくよく準備されることだ。

本筋は、稲田防衛大臣の関与でもなく、総理夫人の寄付などでもない、ということを念のため申し上げておく。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年3月17日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は瑞穂の國記念小學院サイト=閉鎖=より)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。