「銃剣道を学習指導要領に」というアナクロニズム

Wikipediaより(※一部加工しています。編集部)

銃剣道を学習指導要領に佐藤正久氏ブログ

中学校学習指導要領(案)から「銃剣道」が漏れていました。

いま国会で審議している来年度予算案の資料にも「武道等指導充実・資質向上支援事業 190,482千円」として「柔道、剣道に加え、新たに相撲、空手道、なぎなた、弓道、合気道、少林寺拳法、銃剣道に拡充」と記されているにもかかわらず!です。

銃剣道は指導実績こそ少ないが、「日本固有の武道の考え方に触れることができるよう、一層の改善を図る」という方向性を見失った学習指導要領(案)は、学習指導要領に値しないと、佐藤は3月9日の外交防衛委員会の場を借りて厳しく追及した。

武道議員連盟の先生方、自衛官出身の国会議員のお力も借りて、引き続き、文部科学省の政務三役(大臣、副大臣、大臣政務官)に、働きかけていきます。

アナクロニズムもいいところです。
別に銃剣道をやるなとは言いませが、参議院議員が青筋たててまくし立てることでもないでしょう。

それに銃剣道なんて日本古来の武道でもなんでもないでしょう。
学生にマストで教えなければならないものではない。
むしろ合気道あたりの方が実際の生活では役に立つでしょうしね。

ぶっちゃけた話、剣道なら精神修行云々という話もありますが、
着剣した小銃での格闘というのは自衛隊という「暴力装置」で必要な人殺しの手練手管の一つです。
いかにうまく相手を効率的に殺すかの技術であり、むしろ精神性は邪魔ですらあります。

精神性よりも、シャベルを使った人殺しの方法を教えるなど、実践なスキルを取り入れた、白兵戦術の教練をやるべきですよ。

自衛隊において銃剣道は全く不要で、こんなクソみたいな戦争ごっこで精神主義やっているから小銃もまともに調達できなんです。

自衛隊様がやっているから国民もやれと、昔の軍国主義みたいですね

繰り返しますが銃剣道なんて、実戦で役に立ちません。
剣道が実戦で役に立たないのと同じです。例えば小手で一本とらなくとも、相手の指を切り落とせば、あるいは脚を切りつけて動かなくさせれば実戦では勝てます。

銃剣道は旧軍亡霊でしかありません。

そもそも現代のアサルトライフルは昔の38式とか、木製銃床のボルトアクション銃とことなって、頑丈ではないし、全長も短いです。銃剣道で銃床を折りたたんだ状態での戦いかたなんぞ教えません。

本当に銃剣道が必要ならば諸外国でも同様のスポーツが軍民問わず浸透しているはずです。
それがありません。

陸自では課業よりも、銃剣道とかかけっことかの大会で勝つことが指揮官の考査に影響します。ですから本業そっちのけで役に立たない銃剣道に入れあげている部隊が多いのが現状です。

お前ら、お遊びばかりしてないで、真面目に仕事やれよ。

仮に百歩譲って銃剣道が役に立つにしてもですよ、小銃の調達もまともにできていないのですが
30年掛けても、小銃の更新ができないって、一体どこのアフリカの最貧国ですか。

世界有数の軍事費を使っている自衛隊でそれができないのは無能だからです。

新旧二つの小銃が混在していれば、訓練も兵站も二重です。
戦時の部隊再編でも大きな問題なります。

しかも89調達中に旧式化してしまいました。諸外国のライフルはレールマウント装備が当たり前で、光学照準器やフラッシュライト、グレネードランチャーなどアタッチメントを装備しているのが当たり前。「我が軍」は完全に時代遅れです。しかも空挺など一部を除き、89式は固定銃床です。

これは銃剣道の影響で着剣しての交戦を想定したためかもしれません。
ところが、固定銃床の銃は狭い装甲車に搭乗する機械化歩兵には向いておりません。また、市街戦にも向いていません。ゲリコマ重視ってどの軍隊の寝言なんでしょうかね?

89式が時代遅れの固定式銃床になったのも、銃剣道お大事の精神主義からじゃないですかね。折り畳み式や伸縮性の銃床を採用すると銃剣道が活かせないと。そうとしか思えません。

率直に申し上げて銃剣道で精神修行とか下らんことやっている場合じゃないでしょう。

衛生にしてもお粗末で、実際に訓練しているのは止血帯の使い方だけ。それも不十分だし、包帯の使い方もろくに教えていません。これで戦争したら助かるはずの隊員が戦死続出です。

銃剣道やる暇があれば衛生の訓練を充実させるべきでしょう。

それほどお大事の銃剣道=業務なのに、何で自衛隊では隊員に自費で道具を買わせているですか。
これではブラック企業のパワハラですよ。

こういうことを異常と思わない自衛隊の感覚は軍隊の常識からみても異常です。

馬鹿な指揮官が実戦で万歳突撃とかやらせそうで怖いですね。
現場の隊員こそいい迷惑です。

佐藤議員、精神性偏重の銃剣道を持ち上げれば、頭の悪いアナクロな「保守の論客」やら日本人であるいこと以外他人に誇るものがなにもない「国士様」には受けがいいのでしょうが、自衛隊を弱体化させるだけです。

それは愛国を商売にしているどこかの学校経営者と同じではないでしょうか。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2017年3月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。