東京と言えば、世界で最も生活費が高い都市と言われ続けてきました。
それも今は昔。英国のエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の調査で、2015年に続き2016年も1位と2位を占めたのはシンガポールと香港です。シンガポールは面積がほぼ東京23区というだけあって、1DKの家賃で20万円以上はザラという話を耳にしますから、さすがに1位を堅持しました。香港も負けず劣らず女性1人が安全に居住できる物件で18万円という意見を伺いましたから、家賃の高さは東京を凌ぐ勢いですよね。
それでも、今年は円が対ドルで下げ幅を縮小したため日本のツートップがベスト5に返り咲きました。東京は前年から7ランク、大阪も9ランク浮上した結果、それぞれ4位と5位へ浮上しました。
3位はスイスのチューリッヒ。同地に住むかつての同僚いわく「ラーメン1杯3,000円」ですから、堂々3位は納得です。
では、ここで気になる生活費が最も高い都市ランキングのトップ10を振り返ってみましょう。10都市のうち、半分をアジアが占めました。
9位 コペンハーゲン(デンマーク)
9位 ニューヨーク(米国)
7位 パリ(フランス)
7位 ジュネーブ(スイス)
6位 ソウル(韓国)
5位 大阪(日本)
4位 東京(日本)
シーフード類のお値段が手頃で、夕方になるとスーパーが特売してくれるのがステキ。NYでは値下げするより加工して商品価値を維持する傾向あり。
3位 チューリッヒ(スイス)
2位 香港
1位 シンガポール
逆にワースト10は以下の通り。
124位 ニューデリー(インド)
124位 ブカレスト(ルーマニア)
124位 キエフ(ウクライナ)
127位 ムンバイ(インド)
127位 アルジェ(アルジェリア)
130位 カラチ(パキスタン)
131位 バンガロール(インド)
132位 ラゴス(ナイジェリア)
133位 アルマティ(カザフスタン)
インドがワースト10で3都市もランクインしていますが、高額紙幣廃止を受け対ドルで過去最安値をつけた影響をもろに被った状況です。逆にブラジルのサンパウロは通貨安にブレーキが掛かり、29ランクアップし78位に躍り出たといいます。一方で、トップ10の常連といっても過言ではない英国のロンドンも今回は圏外に。BREXITが敗因で昨年と比較し18ランク落ち込んだといいます。同じく、英国のマンチェスターは28ランクも沈みました。
こうしてみると、由緒ある英エコノミスト誌の関連調査会社で160もの製品、サービスから400品の物価を抽出して弾かれる”生活費の高い都市ランキング”は為替によって決定づけられてしまう傾向は否めず。特に日本で言えば、日銀関係者がご指摘されたように「家賃、交通費を含む公共料金、携帯料金の3つが物価上昇を抑制する要因」で、生活費が海外と比較して高いかというと疑問が残ります。特に1LDKで家賃が30万を超えるようなニューヨークから帰ってきた身としては、東京の生活費はリーズナブルです。ランチ代は1,000円程度とNYのほぼ半分、美容院代もカットとカラーで15,000円を割り込み、家賃はNYの半分にも届きません。電気料金は1日エアコンを切り忘れても1DKで5,000円前後で収まり、冬場に同じ間取りで500ドル以上の請求書が届くNYとは段違いです。衣類は1万円近く支払えば5年以上は着用可能で、本当に文句のつけようがありませんよ。
(カバー写真:Sean McGrath/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年3月23日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。