財務省は、国債償還が多い月に発行する国債を対象に、入札から発行までの期間を短縮する検討に入ったと21日にロイターが伝えた。
国債の決済に関しては、2012年4月23日約定分からT+2に決済を行うようになった。つまり売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し・決済を行っている。このため5年債、10年債、20年債、30年債については入札日を含めた3営業日目の日(T+2)が発行日となる。今後はT+1に向けての検討も進められている。
ただし、3月、6月、9月、12月のいわゆる国債の償還月については、20日が発行日となっている(20日が休日の場合は翌営業日)。
償還月の発行日が20日となっているのは、償還を迎えた国債への再投資を円滑に進めるなどの理由があった。ただし、これだと入札日から発行日までの期間が大きく空いてしまうことになる。たとえば今月で言えば、3月2日入札の10年国債の発行日は3月21日(20日が祝日のため)である。これに対して2月2日に入札された10年国債の発行日は6日である(土日の4日と5日を挟む)。
償還月の発行日が20日となっていることで、実は日銀の国債買入にも影響が出ていた。日銀は発行されていない国債を購入することはできない。つまり発行日を過ぎないと買入対象とならないのである。償還月に際しては20日まで日銀が買入対象にできないため、国債を入札した業者は期間リスクを負うことになる。
また、2年債については償還月等に関わらず、入札日のあった月の翌月15日が発行日となる。これは年金支払いに併せていたもののようである。
この2年債も含め、償還月の国債の発行日も入札から2営業日後に発行している通常の月と足並みをそろえるようである(つまりT+2に統一する)。これは決済リスクの軽減や償還資金で新発債を購入する需要が薄れつつある現状を踏まえたものとされるが、日銀の国債買入への対応という側面が大きいとみられる。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年3月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。