あなたはオズの魔法使い症候群に陥ってはいないか?!

尾藤 克之

写真は参考書籍書影

はじめてやる仕事をまかされ、不安やプレッシャーで押し潰されそうになっているのに、会社や上司は何も教えてくれない。いま、このような状況で悩むビジネスマンが増えている。仕事の不安やプレッシャーをはねかえし、成果をあげるにはどうしたらいいだろうか。

はじめてやる仕事の不安やプレッシャーをはねかえす技術』(秀和システム)の著者であり、JTBベネフィット、セミナー・講演チーフプロデューサーの渡邊/明督(以下、渡邊氏)は次のように答えている。

■オズの魔法使い症候群に気をつける

――昨今の職場の人間関係は問題が多いといわれる。職場の悩みのほとんどは対人関係だと言われるが、逆に言うと対人関係をうまくできれば、悩みのほとんどが解決するということにもなる。

「対人関係を左右するのがコミュニケーションです。ところが、コミュニケーションのスキルが乏しいばかりに、ちょっとした問題が大きくなってしまったり、トラブルになってしまうケースが少なくありません。個別の具体的なスキルを紹介する前に、まず基本的な姿勢と心構えから考えていきたいと思います。」(渡邊氏)

「いろいろな視点があると思いますが、これからのビジネスパーソンに必要なのは『振り回されない力』です。上司と部下の間に挟まれながら、微妙な舵取りをしなければいけない場面も出てくるでしょう。目まぐるしい変化の中で、気がつくといろんなことに振り回されてしまう。そんなことありませんか?。」(同)

――そんな振り回されがちな人のことを「オズの魔法使い症候群」と称すそうだ。

「これは私の勝手なネーミングなのですが、皆さんは『オズの魔法使い』の話を覚えていますか? オズの国に迷い込んだ主人公のドロシーが知恵のないカカシと勇気のないライオン、感情のないブリキの木こりと冒険を繰り広げていきます。ストーリーではそれぞれが足りない部分を補いながら、最後に故郷のカンザスにたどり着きます。」(渡邊氏)

「現代の私たちも、いろんなことに振り回されてしまうことがあるように思います。若手の意見をむやみに潰し、芽を摘んでしまう管理職にも問題がありますが、弱腰な若手にも問題があると考えられます。」(同)

――上司が若手の意見に苦言を呈すると、今の若手は自分の考えをすぐに撤回する。否定された根拠ぐらいは確認しなければ対話が成立しない。

■結果を出すためのマインドとは

――渡邊氏は自分のことに置きかえて次のように答えている。

「私もスタッフの企画や提案に『これは』という時があります。それには当然根拠がありますし、できるだけそれをスタッフに告げるようにしています。しかし、あまりにあっさりと引き下がると、説明する機会さえ逸してしまいます。何より、『本気で考えているのかな?』と疑ってしまいます。」(渡邊氏)

「『今後の参考にしたいのでどこがおかしいのかその理由を教えてください』と聞くことは角が立たないし、むしろまっとうな上司であれば『こいつは前向きだな』と評価してくれるはずです。」(同)

――対話の成立しない上司が多いために無気力感であきらめているのだろうか。

「自分の考えや行動を裏付ける知識や論拠を最低限構築すれば、多少否定されたぐらいでは動じない強さと、勇気が生まれてくると思います。」(渡邊氏)

――どんな状況でも結果を出すためのマインドはいつの時代も重要だ。上司や周囲との対話は成立しているだろうか。この機会に振り返ってみては。

参考書籍
はじめてやる仕事の不安やプレッシャーをはねかえす技術』(秀和システム)

尾藤克之
コラムニスト

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