上司が嫌いです。どうしたらいいでしょうか?

尾藤 克之

中尾自作のポートレート(上場企業人事責任者のため写真非公開)

書店に行くと、毎日たくさんのビジネス書が発売されている。「今日から使える必殺ノウハウ!」「楽しまなければ仕事じゃない!」。非常にポジティブで即効性を前面に打ち出した本であふれている。これらの本は、読者に夢や希望や可能性を与える。

タイトルを見ても、ワクワクするものばかりだ。しかしその一方で、「それって本当?」という疑問もどこかで感じている。少なくとも私は、いまだに「こうすれば間違いなくうまくいく」という「必殺技」におめにかかったことがない。

■上司が嫌いです。どうしたらいいでしょうか

今回は、上場企業に勤務する人事マンでありながら、ベストセラー作家でもあり企業向けの研修講師などをつとめる、中尾ゆうすけ氏(以下、中尾氏)に話を聞く。

仕事は苦労の積み重ねである。仕事のなかで誰もが経験する葛藤が上司を含めた人間関係だろう。実際に、「上司が嫌いです。どうしたらいいでしょうか」という質問は非常に多いようだ。中尾氏に回答を聞いた。

「次のように答えるといいでしょう。人は自分のことを嫌いな人を好きにはなりません。あなたが上司のことを嫌えば嫌うほど、上司もあなたのことが嫌いになっていきます。どちらかが相手を好きにならなければ、この負のループからは抜けられません。相手の変化を待つよりも自分ができることをやりましょう。」(中尾氏)

「イヤかもしれませんが、嫌いという意識をやめて、良いところを探して上司を自分から好きになる努力をしてみましょう!そういう姿勢は上司にもやがて伝わりますし、上司や周囲にも伝わり、あなたのことを支援してくれる人も出るようになります。」(同)

上司との人間関係は、あなたのキャリアに影響を及ぼす。上司には人事権が付与されているからである。迎合する必要はないが上手くやるにこしたことはない。

■周りを出し抜いてでも、出世したいのですが

さらに、次のような質問も多いようだ。こちらの回答も中尾氏に聞いた。

「人間関係を悪くして、良いことはないと考えたほうがよいでしょう。そういうやり方で出世しても、孤独になっていくものです。しかも、周りからの信頼なくして仕事はうまくいきません。自分ひとりで何とかするのではなく、周囲を支え、支えられ、良好な人間関係の中で成果を高めていきましょう。」(中尾氏)

たしかに、上昇志向は必要だが、周囲が見えないままの上昇はリスキーである。周囲を敵にまわしたら業務の遂行は難しい。

本書にはこのような社内でよくあるケースが多数紹介され、各ケースに中尾氏が人事マンとして解説する流れになっている。会社の仕組みを理解したい新入社員におすすめしたい。

参考書籍
1割の「できる人」が大切にしている仕事の「基本」』(ぱる出版)

尾藤克之
コラムニスト

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