知財本部コンテンツ会議2017

知財本部コンテンツ会議、2017年シリーズ、初会合。セガ松原健二さん、ハコスコ藤井直敬さん、Hulu船越雅史さん、「君の名は。」川口典孝さんにプレゼンいただきました。ゲーム、VR・AR、映像配信、アニメという元気な分野の状況と展望です。

ハコスコ藤井直敬社長。VRコンソーシアム代表、理研チームリーダー、脳科学者、眼医者さん、超人スポーツ委員。10年おきのVRブームと今回の違いは、安価+高速の技術が熟したことと、facebookやGoogleなどが巨額投資をしていることの2点であることを明快に指摘。

藤井さんは、VRはデバイス主導からコンテンツ主導へ移り、あと2年で市場の方向が見えると断言。でも「技適」による導入障壁があり、打ち破る特区の必要性を指摘し、体験型の場として「VR ZOO」を作ることを提唱しました。それ、乗ります。Pop Tech 特区のCiPに誘致したい!

Hulu船越さん。てゆーか箱根駅伝の中継をしていた船越さん。語りに聞き惚れます。彼が言うには、テレビ番組をネット展開する著作権ルールは作られてきたが、ネット配信ファーストでテレビセカンドの権利処理ルールがない。確かにそうですね。それが必要な段階に入りました。

「君の名は。」川口さん。2Dアニメが危機だ。最低3000万円が必要なのに1500万円で制作している現状で、中国がカネを投じて人材を引き抜いている。中国アニメを日本が下請け製作することになる。アジアは日本アニメを受け入れてくれるんだから、ハリウッド戦略とは別にアジア戦略を立てろ。明快。

山口大学の佐田委員が、コンテンツ業界を目指す学生がコンテンツ業界のことを知る手段がなく、学生を上京させて業界ツアーをするという。うむ、各コンテンツ業界に協力してもらってMOOCsコースを作って、全国のコンテンツ志向学生が見られるようにすればいいんじゃないですかね。

竹宮恵子委員。マンガを学びに来る留学生は多い。育てて、帰して、コンテンツ人材にすること。そのための海外との連携を進めることが必要。
これは国がすべき仕事ですね。

セガ松原さん。元コーエー社長。子どもはゲーム好きでゲームクリエイターになりたいと言うのに、大学生はゲーム好きでもゲームクリエイターを目指さない。CESAはゲーム作りの場として、日本ゲーム大賞にアマ部門を設けている。と説明。

東大・喜連川先生は、ゲーム業界はちまちまゲーム作らせてないでプラットフォームやデータ戦略を描けと指摘。松原さんは業界がユニティを使って首根っこをアメリカに押さえられている状況を指摘、ツールやバックエンドを取る重要性を強調。東大の同研究室出身者のバトルですが、国家戦略として組み上げる必要がある重要テーマです。

吉本・大崎さん。世界に対し、流通機構をどう国として持つか、に尽きる。「花火」は、世界にどう展開し、そのための資金還元をどうするか、という観点からNetflixを選んだに過ぎない。その観点を政府としてどう戦略として持つか。

ぼくの締め。教育システム、場作り、プラットフォーム作り、著作権ルール、流通戦略など、すべきことのメニューが示された。それを2020年にめがけてどう揃えるかという短期戦略と、長期的に続ける政策との両面を見据えて知財計画に落とし込みましょう。

よろしく。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2017年4月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。