ゴッサム・シティーを守る孤独なヒーロー、バットマン。たった一人で自警するバットマンの前に、街をのっとろうと計画する宿敵ジョーカーが現れる。街を救うためには、一匹狼を辞め仲間と共闘しなければならない。バットマンは、お調子者のロビンや新市長のバーバラらとチームを組むがまったく息が合わない。そんな時、ジョーカーが宇宙に閉じ込められている悪者たちを脱走させ、世界を危機に陥れる…。
世界中で人気の玩具・レゴブロックを題材にしたCGアニメーション・シリーズの劇場版第2弾「レゴバットマン ザ・ムービー」。今回は、第1作でヒーロー軍団を率いていたバットマンが主人公だ。ただし、レゴの愛らしい姿にだまされてはいけない。バットマンとはどういう存在なのか?!という大きなテーマを、ギャグを隠れ蓑に、かなり辛口で論じているのだ。歴代のバットマンのパロディはもちろん、悪者軍団には「ハリー・ポッター」「ロード・オブ・ザ・リング」「ドクター・フー」など、アニメやバットマンとは無関係のキャラまで縦横無尽に登場し、お祭り騒ぎ状態。これだけで映画ファンとしてはグッとくる。
うぬぼれ屋のくせにさびしがり屋のヒーロー、バットマンのひとりぼっちライフもさることながら、物語で、バットマンとジョーカーの歪んだ愛憎関係をあらわにしてみたり、悪と戦っているバットマンと悪者は表裏一体だと核心を突くあたり、かなり鋭い。大人のバットマンファンには、鑑賞後、大いに論じてもらいたいものだ。とはいえ、アニメの可愛らしさや楽しさ、おバカなギャグが満載なので、難しいことを考える必要はまったくない。個人的には、いつになく表情豊かなジョーカーのうるうる顔に萌えてしまった。何かにつけてバットマンをいじり倒している本作だが、バットマン愛は本物である。
【65点】
(原題「THE LEGO BATMAN MOVIE」)
(アメリカ/クリス・マッケイ監督/(声)ウィル・アーネット、ザック・ガリフィナーキス、マイケル・セラ、他)
(バットマン愛度:★★★★★)
この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年4月5日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Twitterから)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。