渡部昇一先生がご逝去なさった。
僕は小学生の頃から渡部先生の本を読んできた。非常にわかりやすく、知的な本だった。歴史系、政治系の本だけでなく、『知的生活の方法』、『自分の壁を破れる人、破れない人』といったような「生き方」に関する本もいろいろ読んで、勉強させていただいた。驚くほど多くの本を読んでおられて、文字通り博覧強記の先生だった。
小学生、中学生のころから、自分もいずれは渡部昇一先生のような「文士」になるのだと、勝手に憧れていた。
最近の渡部先生の本の中で傑作は、『青春の読書』という著作だ。お会いした際、この本に直接サインを頂き、本当に嬉しかった。この本は、若き日の先生の読書経験、そして、先生が教わった教師のことが綴られており、読んで非常に勉強になった。編集された方に伺ったが、この本は、口述筆記ではなく、先生が自ら原稿用紙に書かれたものだったという。
渡部昇一先生とは、一度だけ対談させていただいたことがある。非常に知的で優しい先生だった。高校生のとき、渡部先生に手紙を出し、お返事いただいたことが嬉しく、今でも大切にとってありますとお手紙をお見せしたら、喜んで頂けた。
もっともっともっとご活躍いただきたい先生だった。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
編集部より:この記事は政治学者・岩田温氏のブログ「岩田温の備忘録」2017年4月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は岩田温の備忘録をご覧ください。