弁護士の懲戒歴を調べよう

荘司 雅彦

昨今は、ネット上で過去に懲戒処分を受けた弁護士を調べることができます。「弁護士 懲戒」で検索したサイトで弁護士名を入れると懲戒内容まで出てきます。

仕事柄、私はよく「弁護士の〇〇さんってご存知ですか?大丈夫でしょうか?」と知人に尋ねられることがあります。全く知らない弁護士の場合、「サイトで懲戒歴があるかどうかお調べになってはいかがですか?懲戒内容まで書かれているので、それを見て判断してください」と答えるようにしています。

これはあくまで私個人の経験の範囲内ですが、依頼者や顧問先の信頼を裏切って懲戒処分を受けた弁護士は、同じことを繰り返すことがとても多いのです。先般も、7回目の懲戒処分を受けた弁護士がいました。元判事で私が修習生だった頃に家庭裁判所の上席判事だった人です。

なぜ同じことを繰り返すかというと、懲戒処分を受けたことがわかると顧問契約がほとんど解除され、新しい依頼者が激減します。それだけでは済まず、過去の事件の相手方が過去の依頼者に「あの悪い弁護士を雇ってズルをしたんだろう!今でも俺は納得していない!」というようなクレームを付けにいくこともあるのです。

会社をリストラされた従業員が当時の会社の顧問弁護士が懲戒処分を受けたと知って「会社はやっぱり悪徳弁護士とグルになっていた。今から会社に文句を言いに行く」と息巻いていました。リストラは10年以上前のことなのに、人間の恨みや屈辱感は決して消えることがないのです。

こうやって、弁護士は懲戒処分を受けると、現在だけでなく過去の依頼者にまで迷惑をかけることがあるので、ますます仕事がなくなります。「貧すれば鈍す」と言うように、仕事がなくなってお金に困ると新たな悪さをしてしまい、またまた懲戒処分を受けるという悪循環に陥るのでしょう。

私は、弁護士の品位云々は別として「自分を信頼してくれた人や会社を裏切った弁護士」は、事実が明白であれば有無を言わせず資格を剥奪すべきだと思います。

多くの人や会社は「弁護士だから信頼しよう」ということで大切な財産や秘密を委ねるのです。それを裏切った弁護士が再び平然と弁護士バッジを付けていると、新たな被害が出る恐れがあります。

裏切り行為は過失ではなく故意なのです。医師だって故意で患者の手術を失敗したりすれば、医師資格を失うのではないでしょうか?

毎日にように、弁護士の不祥事、横領等の事件が報じられています。懲戒件数はうなぎのぼりです。
たとえ弁護士を辞めても「食っていくこと」はできます。下手な温情は無用です。

荘司 雅彦
2017-03-16

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年4月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。