中島みゆきさんの「糸」の歌詞に「縦の糸はあなた、横の糸はわたし〜」というサビの部分があります。
それを聴いていてふと思い出したのが野口悠紀雄先生の記事。1995年5月号の週刊ダイヤモンドに掲載されたもので、20年以上も前の記事です。「万能スピーチ術教えます」というタイトルの記事です。以下、部分的に引用します。
その方法(万能スピーチ術の方法)は簡単至極で、「世の中は縦糸と横糸でできています」と話し始めるのである。例えば税務署長として納税者大会で行うスピーチなら、「税金もそうです。表向きの<税制>という縦糸と、実際面の<納税>という横糸がある」というようにやる。そして、「どちらも重要です。そして、この二つがバラバラにならず、互いに補い合うようにしなければなりません」と続けていくのだ。(括弧内は私が挿入)
同記事が掲載されている書籍「超整理日誌」に収録されているのを改めて読み返し、「なるほどー!」と感心しました。これはとても汎用性が高い方法です。
結婚披露宴のスピーチなら「仕事という<縦糸>と家庭という<横糸>があります。どちらも重要です。この二つがバラバラにならず、互いに補い合うようにしなければなりません」という骨子ができます。
数学的に言えば、x軸とy軸が存在することによって円を含めた様々な図形を描くことができるようになるのでしょう。そこで、「z軸を加えてみてはどうか」と私は考えてみました。今流行りの三次元立体というヤツですね。
あれこれ考えてみると、昨今ではz軸つまり「第三の分野」が重要になっているように思えてきました。
先の結婚披露宴を例にとれば、仕事と家庭の間にある「サード・プレイス」の重要性が意識されています。男と女の間にある同性愛も認知されています。都会と農村の間にある地方都市も重要でしょう。第三セクターというのも第三の糸でしょう。
思考方法としては、対義語的な対立軸を<縦糸>と<横糸>で設定します。
組織という<縦糸>と個人という<横糸>を設定したら、第三の糸は何かを考えてみましょう。私は「家族」ではないかと思います。他人同士が集まる組織と一人の個人の間にあるのは、血縁や生計を同じくする家族ではないかと。そして、組織と個人の両方の引力が強まったために「家族」の存在感が希薄化しているのが現代という訳です。
もっとも、常にこれがうまくいくとは限りません。ミクロ経済学では、企業部門と家計部門という二つを設定します。さて、第三の部門はいったい何なのでしょう?
中島みゆきさんの歌の「糸」は、「あなた」と「わたし」。
では、あなたとわたしの間にあるのはいったい何? 愛情?友情?憎しみ?…ということで、わからなくなってしまいました(汗)未熟であります^_^;
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年4月30日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像はYouTube中島みゆき公式チャンネルより)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。