歓迎、病気予防を評価する厚生労働省の指標

毎日新聞が『病気予防 「熱心」1位新潟 都道府県別、国保取り組み点数化 厚労省調査』と4月27日夕刊で報じた。これは、4月26日に開催された社会保障審議会医療保険部会に提出された『保険者インセンティブについて』を元にした記事である。

厚生労働省では、国民健康保険に対して「保険者努力支援制度」を2018年度に創設する。その前段階として、①特定健診・保健指導、②特定健診以外の健診(がん検診、歯科健診など)、③糖尿病等の重症化予防、④ヘルスケアポイントなどの個人へのインセンティブ等、⑤重複頻回受診・重複投薬・多剤投与等の防止対策、⑥後発医薬品の使用、⑦保険料収納率向上等、について各都道府県に点数を与えランキングを付けた。その結果、上位は新潟県185点、長崎県177点、佐賀県176点、下位は三重県97点、東京都93点、秋田県90点となった。

保険者努力支援制度はまだ試行段階である。しかし、交付金(努力支援金)総額150億円が点数に応じて配分されたという。その金額は、毎日新聞によれば全国平均では加入者1人当たり476円、新潟県には591円、秋田県には380円だったそうだ。2018年度からは総額を700から800億円に拡大する。

国民健康保険では、病気予防や健康増進対策の推進は地方公共団体が行う。そこで、地方公共団体が互いに競争するように保険者努力支援制度を導入するわけだ。糖尿病等の重症化予防は満点が40点でデータヘルス計画は10点というように、点数配分には恣意的な部分もあるが、各都道府県の取り組みを見える化して評価する姿勢は正しい。

後期高齢者医療についても同様のインセンティブ制度が導入されている。『保険者インセンティブについて』によれば、取組上位は宮崎県68点、長崎県・兵庫県66点、下位は静岡県22点、富山県21点、徳島県20点だそうだ。国民健康保険のランキングで下位だった三重県は40位、東京都は20位、秋田県は37位と、東京都を除いて後期高齢者医療でも取り組みは遅れている。

地方公共団体(医療保険者)が加入者の健康状態を分析し、病気予防・健康増進に取り組み、効果的・効率的に保健事業を推進するためには、多様なデータが集積され分析できるのがよい。インセンティブ制度はこのデータヘルスを後押しするものであって、今後の進展に期待したい。