編集部より:このほど、東京維新の会を除名された三鷹市議会議員の増田仁氏からの寄稿です。
維新都政政策への異議行動から、4月27日に日本維新の会東京都総支部である、東京維新の会より除名(正式には除籍)の通知をうけ、支部の倫理順守に反するということで処分が確定しました。
今の都政とのかかわりや、打ち出した政策について具体的な問題点は以下であると考えて行動した次第です。
都知事と第三極の関係について
維新や第三極支持の有権者は、直近民意として示した小池都知事に対して東京維新の会が批判をする、敵対勢力としてでもメディア露出を狙うというのは、有権者の民意と全く逆で、投票の選択肢に残れず壊滅危機にあります。「東京都政」の維新は、都知事批判と都議会自民同様の豊洲即時移転、補完勢力とされてしまっているのは、報道でも示されるように、第三極立脚点の喪失、深刻です。
そもそもですが、都知事選で維新が独自候補を擁立しないのに、他候補がいる中で小池現都知事だけ、
「推薦どころか、支持しない」
としたのは、大きな誤りでした。これは当時も問題があると指摘しましたが、上意下達、確定されました。
都議選は、他党を見ればわかるように、組織戦(単騎で議員が手伝い党員動員という程度ではなく、組織規模で票を集めないといけない)です。民意を考慮しないでは、都民の信を受ける政党にはなりえません。政策においても都統一のもののほか、各自治体での区市町村実態調査を行えば、そこの有権者に刺さる、東京都政関連の課題が見つかります。
グレーター東京(都議選の維新政策)について
日本維新の会は改革政党、第三極の立場にあっているか、この点が都議選にむけた政策、期待値の点で、有権者の判断基準となるはずです。
グレーター東京の題名ですが、用語の説明を要し、定着に時間がかかり、選挙向けとはしにくいです。まだ、東京圏民営化のほうが、詳細のつめはともかく例えば民営化といった、根柢の基本方針が一単語で通じ、改革政党、第三極として想起しやすいです。
都議会の作り直し、議員定数大幅削減は実現できたらとてもいいことですが、25名という目標値には、実現性を有権者に感じてもらえない懸念があります。いままでの各級選挙でも、議員定数削減を掲げる政党、候補はありましたが、ふたを開けると動かないところが多く、実現可能性を有権者は見ています。分権して削減というものの、25名の担保についての説明がないままでは、説得力に乏しいです。
さらに懸念される事態は、
1、25名まで減らし、分権しました。
2、では各自治体単独だと行政効率が悪いので広域化しましょう。
3、国民健康保険や後期高齢者医療、不燃ごみ最終処分などで存在する、広域連合、広域組合が発生。組合議会が必要となる。
4、組合議員が誕生。議員がそれぞれ組合議会で自治体数40名以上の規模、結局増える。事務組織含め高コスト、効率性の阻害要因発生。
困った事態になる可能性が考えられるのです。こうならないための方策も加味した25名でないと、過去自民党が行った、省庁減らして予算拡大という、当初の改革が帳消しになります。
都議会の改革は誰もが必要と思いますが、それを具体的にどう実現性を担保するか、実現後はどう変わるかの数値目標も交えて描くべきなのです。有権者に内容がわかる具体策を簡潔に書き、さらにどうやってそれを実現するかのロードマップが必要です。何年かかり、人物金どの事業分野をどう配分するか。
都職員を半減させても、区市町村職員がその分増えては、全く意味がありません。税金浪費構造を分割するだけです。当然民間活用が想定されますが、そうするなら民間委託や開放はどれくらい要するのか、そもそも受け皿となる民間は確保できる見込みがあるのか、現状わかりませんし、有権者に説明ができません。
豊洲「即時」移転(都議選の維新政策)について
豊洲について、「即時」移転では改革政党の立場にはなりえません。現時点で「即時」移転を言っているのは、都議会自民。つまりこの時点で改革政党でも第三極でもないと判断されるのは自明です。守旧派。
さらにもっと深刻な根本的問題点、豊洲「即時」移転は都知事選以前の【既存行政の既定方針】であること。
つまり決まった予定を急いでやれと言っているのは前都知事までの行政であり、たとえ東京維新の会にその意思はなくとも【行政の追認機関、追認政党】でしかないと有権者に判断されるのです。今の方向性では、改革政党の立ち位置を失います。
もし、豊洲の移転を第三極、改革政党がいうのであれば、移転により、業者の競争力の強化、利便性の向上、運営コスト低減、業者の利用コスト減、廃業による施設空白部は、床貸与で収支改善といった成長戦略を加味し、将来ビジョンを提示することです。
安全だから早期移転といっても都民には投票先として選択されません。なぜなら、それは先に述べたように、「行政の既定方針」だからです。そこを重視する層は、今までの活動実績がある都議会自民に入れるはずです。
豊洲の過剰スペックの実態はかなり高コストであり、経年で運営や修繕で税金を浪費するのは明白です。築地とは市場のコンセプトが異なり、もはやコスト比較ができないレベルです。これをそのまま使うというのは、長野五輪後の施設のように都政のお荷物状態にならないかということに、メスが入っていません。
第三極の改革政党は、自民党のようにとにかく作れ、作ったらつかえの無駄放置ではなく、建物の建て替えや大規模改修を要する50年先まで、持続可能性を担保しなければいけません。豊洲新施設をどうしても使うならば、高コストの機能を一定廃棄してでも、事業会計、各業者が持続可能な利用をできる構造にしますというのが先です。
豊洲新市場は、行政が考えた計画です。今となっては通常の市場と比較してどうにもならない高額施設ですが、最初から民間側でこの規模、この程度のコスト、汎用性の担保など、数百億ですむ、最低限の市場運営を満たすものでよかったはずです。それ以上のものが必要なら、民間が自前用意か、行政と協議をして改修。逐次改変も可能だったはずなのです。
よって、維新はこれを政策として挙げる類のものではなく、一般的な行政運営をしっかりチェックしますという範囲のものを政策の第一に挙げてしまっているのです。改革政党の存在意義は、改革であり、税金の無駄を減らす、例えば民間事業者による発展です。どれにも該当しないのです。
第三極としての戦い方(橋頭保すら欠如した地域において)
第三極の立場を生かす戦いであれば、都知事の今後の具体的改革政策を阻害する可能性が残る左派系脱藩組けん制を主導し、不足分野で維新政策を上乗せで国会の法案修正同様に改革を行う。都議会内の改革拒否勢力から都議会を取り戻し、スピード感のある都政運営を実現。成長戦略の実現を強力に議員提案することで、国政選挙以外で各基礎自治体に議席を得る機会を生み出し、各地域に根付いた民意を得ていけるはずです。
政策は選挙区の課題も加味し、実現可能性を見せなければ、都民の期待値による投票は望めません。現在小池都知事を応援するといっている他党には、きっちり協定を結んでいる党を除き、明らかに候補者本人の後ろにある行政改革を止める行政拡大側の勢力、思想が異なる党があります。職員給与上げろという場面も出てくるはずです。その際、小池都知事、都民ファーストへの期待値が落ちかねない場面も、必ず出てきます。大阪で実現してきたそれを叩きのめす、「本来の維新」は改革勢力として必要だったはずです。
維新は、都民ファーストよりも実現性を担保した既定路線にない改革を具体的に提示し、旧弊妨害勢力を排除し、給与はむしろ都民平均給与レベルへの削減を最終目標にという、維新の進めたい改革も盛り込ませ削減を担保する。こうした将来を有権者に感じてもらわねば、投票されるわけがないのです。
地方議員は、
「政党人」である前に
「議会人」が立脚点です。
「三鷹市民の税金で働いている」
という立脚点は外せませんので、改革政党の立脚点を損ない、ないがしろにする行為は賛同できませんし、政策について三鷹市民の公益に合致するか、政策実現の可能性が示されていない、課題のある政策なら異議を述べるのが市民から選ばれた者の責務です。この行動が除名に該当すると、東京維新の会で判断された以上は、機関意思決定は重く、異議申し立ては行わず、従います。
三鷹市議会議員 増田仁(無所属)
詳細は下記の私のサイトよりご覧ください。