自動車のuber、家のair b&bなど、IoT(モノのインターネット)を活用して所有物を共同使用するシェアリング・エコノミーがブームとなっています。実は、Uberよりもずっと早く、10年ほど前から、こうしたシェアリングの普及が熱く語られていた業界があります。それは電力業界です。
当時それはスマートグリッド(賢い送電網)と呼ばれていました。各家庭にはスマートメーターと屋根の上に太陽光パネル、駐車場にリチウムイオン電池が搭載された電気自動車が置かれます。そして、ピアートゥピアーつまり、家庭同士で電力が売り買いされ、さらに太陽光電池で発電して、余った分はリチウムイオン電池に充電したり他の家におすそ分けする。足りなくなったら放電する。こうしたいわば電力シェアリングが直ぐにでも実現すると10年ほど前から専門家は語って来たし、私もそう思ってここアゴラにも投稿して参りました。
では現実はどうでしょうか。昨年4月に電力小売が自由化され1年が経過しました。新電力と言われる多くの会社、例えばNTT、KDDI、ソフトバンクなどの通信会社、ガス会社、電鉄会社、ベンチャー起業が電力小売事業に多く参入しています。ただ、残念なことに各社のセールスポイントは既存の電力会社より若干安い電気料金であって、世間をあっと言わせるような、イノベーションをもたらすサービスを提供する会社は今の所現れていません。今やスマートグリッドという言葉は死語になりつつあります。
もちろん電力シェアリングを思向する動きもないわけではありません。例えば、日本ではバーチャルパワープラントと言って、家庭に設置された太陽電池やリチウムイオン電池を何千、何万と集めて束にして、あたかも一つの大きな発電所のようにして電力を取引しようという動きや、デマンドレスポンスと言って、家庭で使おうと思っていたけれども、節約して使わなかった電力を、何千、何万と束ねて一つの発電所分運転しないで済ませると言ったネガワット取引を実現しようとする動きがあります。ただ、関係者の皆さんの頑張りにも関わらず未だ大きなビジネス化の潮流には至っていません。
海外に目を転じると、いくつかの先進的な取り組みがなされています。例えば、米国では、ブルックリングリッドというベンチャー企業が、ビットコインのようなブロックチェイン技術を使って、ニューヨーク・ブルックリン地区で家庭の屋根に置いた太陽光パネルで発電した電気を、近隣の住民に電気を売るといった電力シェアリングモデルの実験をしています。ただし、まだ数十戸でのやり取りで、ビジネス化は先のようです。
このように電力のシェアリングのブルーオーシャン化は、車や自転車や宿泊場所ほど簡単ではないようです。でも、私は、電力シェアリングは絶対にビジネスとして成立することが出来ると今でも思っています。
そこで私は大きな決断をしました。これまで16年勤務して来た国際金融機関を退職して自らビジネスを立ち上げる側に身を投じてみることにしました。電力シェアリングを立ち上げる他の人たちの頑張りを傍観して評論する立場もうややめにします。アクションを始めます。
私の仲間は、既に電力シェアリングと名付けたウエブサイトを立ち上げています。私も、スピード感を持ってそのサービスを実現できるよう頑張って参ります。
その実現は容易ではないですが、温めていたアイデアがあります。その内容や取り組みの進行状況をアゴラにも投稿させていただき、皆様に随時アップデートさせていただきますので、忌憚のないご意見やコメントを頂ければ幸いです。