子どもの割合世界最低の日本。新宿区はワースト17位

子ども人数は2060年には半分になる
総務省が5月5日の「こどもの日」に合わせて、15歳未満の子どもの推計人口を発表した。
15歳未満の人口は2016年度比で17万人減の1,571万人となり、36年連続の減少となった。
少子高齢化の影響もあり、子どもの割合も12.4%へと43年連続の低下となってしまった。
※総務省統計トピックスNo.101
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi1010.htm

今回の調査が子どもの年齢を0〜14歳にしているのは、15歳〜64歳が「生産年齢人口」と想定されており、65歳以上を「老年人口」、14歳未満を「年少人口」として、この年齢区分が「年齢3区分」として国際的な調査においても使われている分け方になっているためだ。

図表: 年齢3区分の人口の推移

出典:国立社会保障・人口問題研究所 人口推計より筆者作成

今回、総務省が問題提起したのは今年までの数字だが、子どもの数の減少は今後も続いていくことが予想されている。
国立社会保障・人口問題研究所の人口推計を見ると、5年間で約1,000人程度のペースで減り2020年に14,568人に、2060年には半数近い7,912人にまで減ると予想されている。
今回の発表は、決して新しいものではなく、これまでも言われ続けてきたことだが、こどもの日にあらためて現状の問題と将来の課題を共有しておくことは重要なように思う。

子どもの割合が最も高いのは沖縄県、東京はワースト4位
図表: 都道府県別子どもの数と割合

出典:総務省統計トピックスNo.101から筆者作成

今回総務省がもう一つ公表した都道府県比較は2015年10月1日現在のものだが、前年に比べて子どもの数が増加しているのは東京都だけで、子どもの数が100万人を超えるのは東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の4都府県しかなかった。
人口で見るとこうした大規模都市が目立って見えるが、人口に占める子どもの割合で見ると、最も高いのは沖縄県の17.2%で、次いで滋賀県の14.3%、佐賀県の13.8%となっており、むしろ東京はワースト4位の11.3%しかいなかった。
最も子どもの割合が低いのは、秋田県の10.3%、次いで北海道と青森県の11.2%だった。

人口4,000万人以上の国31ヶ国で日本は子どもの割合が最低
図表: 世界における子どもの割合ランキング(人口4,000人以上の国)

出典:総務省統計トピックスNo.101から筆者作成

そうは言っても、国内で比較するとそれ程差がないと思う人もいるかもしれない子どもの割合だが、国際比較で見ると日本の状況が極端なことも見えてくる。
人口4,000万人以上の国31ヶ国で比較すると、最も子どもの割合が低いのが日本だ。
単純に先進国と途上国などの状況を比較できるわけではないが、最も割合が高い国では4割以上を子どもが占めている国もあるのだ。
その差は大きい。
子どもの数がより少なくなっていく時代の中で、子ども若者の声をどう聞いていくか、どう反映していくかは、今後さらに重要になってくる。
こうした対応や条件も自治体によって異なる。

子どもの割合最高は豊見城市、最低は夕張市

最後に、全国の市区の子どもの割合のランニングを作ったので紹介したい。
国内の市区で最も子どもの割合が最も高かったのは沖縄県の豊見城市で20.3%だった。2位こそ愛知県の長久手市だったが、ベスト10の中に沖縄県の自治体が6件。
一方で、子どもの割合が最も低かったのは、北海道の夕張市の5.6%、次いで歌志内市(北海道)5.9%はじめ、ワースト10の中に北海道の自治体が5つ入った。
こうして見ると地域の偏りも見える。
東京都でベスト50位までに入ったのは15.2%で44位になった稲城市だけ。
東京神奈川千葉埼玉の4都県でも、他に35位の戸田市(埼玉県)、38位の白井市(千葉県)と吉川市(埼玉県)だけだった。
一方でワースト50の中には8.6%で17位に新宿区(東京都)、8.7%で19位に豊島区・中野区(東京都)が、9.2%で26位に台東区(東京都)、9.8%で50位に渋谷区(東京都)と5つ並んだ。
東京以外にも神奈川千葉埼玉では、7.4%で5位に勝浦市(千葉県)、9.0%で23位には銚子市と南房総市(千葉県)、9.4%で32位にも富津市といすみ市(千葉県)、9.5%の38位で三浦市(神奈川県)が入った。
人数で言えば子どもや若者が集まっている首都圏4都県だが、割合で言えばむしろ少ない自治体も多いことが見えてくる。
ちなみに地元の市川市は12.5%で390位だった。
こうした自分たちの住む街ごとの状況を知っていくことも大事なことである。
子ども若者の参画の現場は、国政というよりは、地方自治体現場の方が可能性は大きい。
こうした子どもの割合が極めて低くなっている状況の中で、どうやって子どもの若者の声を聞き反映していく仕組みを創っていけるか。
こうした自治体間競争についても期待していきたいと思う。

図表: 市区別子どもの数と割合 トップ50

出典: 総務住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査(2016)より筆者作成

図表: 市区別子どもの数と割合 ワースト50

出典: 総務住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査(2016)より筆者作成


高橋亮平(たかはし・りょうへい)
一般社団法人政治教育センター代表理事、NPO法人Rights代表理事、一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、千葉市こども若者参画・生徒会活性化アドバイザーなども務める。1976年生まれ。明治大学理工学部卒。26歳で市川市議、34歳で全国最年少自治体部長職として松戸市政策担当官・審議監を務めたほか、全国若手市議会議員の会会長、東京財団研究員、中央大学特任准教授等を経て現職。学生時代訴え続けた18歳選挙権を実現。世代間格差問題の是正と持続可能な社会システムへの転換を求め「ワカモノ・マニフェスト」を発表、田原総一朗氏を会長に政策監視NPOであるNPO法人「万年野党」を創設、事務局長を担い「国会議員三ツ星評価」などを発行。AERA「日本を立て直す100人」、米国務省から次世代のリーダーとしてIVプログラムなどに選ばれる。テレビ朝日「朝まで生テレビ!」、BSフジ「プライムニュース」等、メディアにも出演。MXテレビ「TOKYO MX NEWS」では週一ペースで解説を務める。著書に『世代間格差ってなんだ』、『20歳からの社会科』、『18歳が政治を変える!』他。株式会社政策工房客員研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員も務める。
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