だらしない文科省だから出てきた加計学園の証拠文書、野党は活かせるか?

田原 総一朗

安倍政権に、またも大きな疑惑が持ち上がっている。文部科学省の記録文書が流出したことから明るみに出た疑惑だ。

安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」がある。その加計学園が、国家戦略特区である愛媛県今治市に、獣医学部を新設する計画をたてた。その際に、安倍首相の関与があったと見られているのだ。文書には、特区担当の内閣府から、「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと言われた旨が記録されていたという。

森友学園に続く、またも学校関連のスキャンダルだ。共通する点も多い。

森友学園のスキャンダルでは、国有地購入の際、8億円もの値引きを「忖度」してもらった。今回の加計学園は、何度も認可を拒否されてきた獣医学部の新設が、一転、認められているのだ。

そして森友学園問題に関して、野党に追及された安倍首相は、「もし関与があったならば私は辞職する」と国会で宣言し、物議をかもした。加計学園問題でも、「私に相談があったことや、圧力が働いたことは一切ない」と否定している。

だが、この2つの問題には根本的な違いがある。「朝日新聞」によれば、一連の文書には具体的な日付、文科省や首相官邸の幹部の実名、「加計学園」という具体名が記されたものもあったという。一方、森友学園の国有地売却にかかわった財務省は、文書を一切、捨てたとした。不自然なことだ。

よし悪しはまったく別になるが、財務省はその点、しっかりしている、と言えるだろう。それに対して文科省は、なんとだらしがないことか。「文書」が次から次とぼろぼろ出てくる。

森友学園問題では、「証拠」が出てこなかったここともあって、トーンダウンしてしまった。今回の加計学園問題は、文科省がだらしないために、手がかりがたくさんある。どこまで徹底して追及できるか。今度こそ、野党の本気を期待したい。


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2017年5月26日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。