なぜ日本では高コストで運用成績の悪いファンドが9割なのか?

週末の日経ヴェリタスの特集記事が、日経電子版に転載されていました。「膨張パッシブ 光と影」というタイトルで資産運用におけるインデックス運用(パッシブ)の拡大について分析しています(図表も引用)。

記事の中では、インデックス運用が拡大している3つの理由として
1.運用コストが低く、長期になるほどリターンがアクティブ型を上回りやすい
2.運用成績のバラツキが小さい
3.値動きの理由がわかりやすい
を上げていますが、私は1番目の理由が圧倒的だと思います。

紹介されている図表データでは、国内公募投信のインデックス(パッシブ)型の10年間の成績が、アクティブ型を大きく上回っている結果になっています。

また、2016年末までの5年間で見ても、日本と欧州で7割以上、米国になると何と9割近いアクティブ型ファンドがインデックス以下の投資リターン。さらに、昨年1年でもアメリカ株のアクティブファンドは小型株ファンドで85%、大型株ファンドで66%がインデックスを下回っているそうです。完敗です。

アクティブファンドはインデックスファンドに比べコストが高くなっています。日本株ファンドの信託報酬は、アクティブ型では年1.5%程度がざらですが、インデックス型は0.5%以下のものが普通です。高コストを補うだけの運用スキルをアクティブファンドは提供できていないということです。

世界的なインデックス化の流れにも関わらず、金融庁の説明資料によると、日本の公募投信のうち株式型・資産複合型は3,088本あり、そのうちのインデックス型は381本で、アクティブ型は2,707本と、アクティブ型が9割近くになっています。

海外や機関投資家の運用はインデックス主体に変わってきているにも関わらず、相変わらずアクティブファンドが中心の日本の個人投資家の資産運用。その原因は、正しい情報を伝えない専門家やメディアにあると思います。

アクティブファンドのほとんどには存在価値が無い。そんな「不都合な真実」が日本の個人投資家に認識されるには、まだ時間がかかりそうです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年6月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。