「レビュアー過剰接待」で見えた「食べログの限界」

食べログの有名レビュアーが高評価を付けているステーキ店のオーナーから過剰接待を受けていると文春砲が報じています。

グルメサイト「食べログ」でカリスマレビュアーとして知られる「うどんが主食」氏(以下、うどん氏)が、自らが高評価をつけているレストランのオーナーから過剰接待を受けていることが週刊文春の取材で分かった。

うどん氏はステーキ店「ウェスタ」(東京・日本橋)に「4.8」の高得点をつけ、〈私はここ以外ではステーキ食べたくありません〉と絶賛しているが、この店のオーナー、小林達彦氏と銀座のクラブで豪遊していたという。

二人が訪れたクラブのホステスが明かす。

「店でのうどん氏は楽しそうで、自ら持参した『うどんが主食』ステッカーをいろんな女の子の携帯に貼りまくっていました(笑)。会計は当然、小林さんです」

ウェスタ関係者もこう言う。

「うどん氏はウェスタでも食事代を奢ってもらっています。ロマネ・コンティで知られるDRC社の各ワインをはじめ、シャトー・ラトゥールやオーパス・ワンなど数十万~百万円以上の最高級ワインも奢りです。小林氏からはブルガリの時計もプレゼントされている」(BLOGOS記事から引用)

食べログの評価に関しては、2つの問題があると思っています。1つは、レビュアーが匿名であること。そしてもう1つはレビュアーの評価を総合してスコアリングするアルゴリズムが公開されていない点です。

匿名の弊害については「「食べログポエム」でお店選びをしてはいけない」というブログ記事を書いたことがあります。ネット上で匿名で批判や論評をしている人は、人の責任は追及するのに自分は責任を取らない「壁に隠れて石を投げるような人」。ハンドルネームという都合の良い安全地帯に身を置いて、情報発信するのはフェアなやり方ではないというのが私の意見です。

そして、食べログ側はそのような「情報」を集めて5点満点でスコアリングする訳ですが、単純な平均ではなく、影響力のあるレビュアーの評価を重視し、バイアスをかけて数値化しています。この点数だけが独り歩きして、「食べログ4.0以上のお店」といったお店選びの基準にしている人が現に存在するのです。

今回の文春の記事は、レビュアーの評価に対する信頼を揺らがせることになるでしょう。しかし、レビュアーとは元々は素人が自己承認欲求を満たすために無料で情報提供しているブログのようなものです。そんな人の中には、過剰接待まではいかなくても、無料の試食会に招待されたり、タイアップ企画でお店の取材をしたりしているケースも少なくないはずです。お金をもらって仕事としてやっているのではなく、あくまで趣味の世界ですから、何を書こうと自由といえば自由です。

ただし、うどん氏は趣味が高じて、グルメ本を書いたり、コラボ商品の開発も手掛けているようですから、その時点で素人だという言い訳はできなくなるはずです。

そもそも食べログというサイトのビジネスモデル自体が、飲食店から広告を募り、お店を紹介することによる収益に依存しています。例えば、検索するとランキングより前に”標準[会員店舗優先]”というカテゴリーで、お店が紹介される仕様になっています。これは広告を出したお店が上位に表示される「広告主からの広告収入」を反映したものです。

初めていくお店の場所を探したり、電話番号を検索する時、お店のWebより上位に検索表示され、画面も見やすいためにアクセスすることの多い食べログですが、匿名が書いた情報をブラックボックスで数値化し、広告主からの影響を受けざるを得ないビジネスモデルには、そろそろ限界ではないかと感じました。

※六本木のお気に入りの新店(写真)も早速食べログで次々と「ポエム」が公開されていました。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年6月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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