“共謀罪”落としどころあれこれ①

早川 忠孝

テロ等の重大犯罪の実行を計画・準備する組織的犯罪集団

私は、共謀罪関連法案自体の廃案までは求めない。

対象犯罪を絞り込んで、懸念事項を解消するための工夫を求めているだけで、共謀罪関連法案を4度目の廃案に追い込んで国際的組織犯罪防止条約の締結を先送りすることなどはまったく考えていないし、望んでもいない。

今の私に特別の知恵があるわけではないから、政府原案の具体的修正の方向性などについてはこれまで殆ど言及して来なかったが、私が求めているのは、あくまで、更なる修正でしかない。

なーんだ、それっぽっちか、などと呆れられてしまうかも知れないが、そのとおりである。
法の体系を根底から引っ繰り返すような大それた考えは、私の頭の中からは出てこない。
ほんのちょっとした法案の手直し程度で済むような話である。

現役の国会議員の皆さんの話し合いの中でそういう修正案が提案されるのを期待してきた。

しかし、どうやら期待外れで終わるようである。
私が一番期待していたのは、自民党の国会議員の中からそういう提案がなされることだったが、不勉強な自民党の国会議員の中からは一切そういう話が出てこなかったようである。

ひょっとしたら、弁護士議員が多い公明党の中からそういう提案がなされるかも知れないな、と思っていたが、どうも公明党の皆さんもイマイチだったようだ。

法務省の刑事局長の説明など一蹴してしまえばいいのに、と思っていたが、どうも皆さん法務省の担当者との議論に負けてしまったか、そもそも問題意識を持っておられなかったか、個別具体的な議論には踏み込まないで法務省の原案を鵜呑みにしてしまったようである。実に不甲斐ないな、と思うが、どうにも仕方がないことである。

落としどころを私に考えてみろ、という声が上がったが、現職の国会議員でない私が何を言っても何の影響もないのが現実である。何を言っても世間的に何の効果も影響もない時は、大体は何も言わないのが世の常である。

私も、求められれば懸命に知恵を絞ることもあるが、求められなければ大体は何もしない。

まあ、大した知恵ではないことを私自身十分承知しているせいでもあるが。

私の与えられた役どころではない、ということは十分分かりながら、それでも私のブログの読者から求められたので、ちょっとだけ私の考える落としどころを述べてみる。

テロリズム集団その他の組織的犯罪集団、という概念をもう一捻りしてみることだ。

「テロリズム集団及びこれに準ずる重大犯罪の実行を計画・準備する組織的犯罪集団」などともう少し要件を絞れば、一般の企業や宗教法人、労働組合等の団体、個人が摘発や監視の対象になる虞は大分少なくなるだろうな、という程度の認識はある。

いや、それは無理です、そういう表現は取れません、などと法務省の担当者などは反論するかも知れないが、そこは立法府にいる国会議員が頑張ればいい。

いや、私たちがそうする、国権の最高機関である立法府である国会がそう決めるのだから、行政府の職員である皆さんは立法府に従うべきである、と言い切ってしまえばいいだけのことである。

まあ、今の自民党の国会議員の皆さんは、そこまでのプライドは持ち合わせておられないようだが・・・。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年6月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。