民進党4.8人に激減も、民進系会派「東京改革議員団」は13.0議席の予想
先日、高橋亮平(一般社団法人政治教育センター代表理事・NPO法人 Rights代表理事・元中央大学特任准教授・元市川市議・元市川市長候補)コラムで『【東京都議選大胆予測・全候補者選挙区別一覧】自民が第1党。都民F+公明過半数届かず、民進は激減か』を書き、業界団体、メディア関係者まで本当に多くの方に読んでもらった。
前回は、全選挙区情勢を掲載するため、細かいことまで書ききれなかったが、この選挙予測によると、どういったことが起こるであろうかという事について、今回は紹介していこうと思う。
今回注目したのは、「公認・推薦を出している政党で見るのと、会派別で見るのとでは、見え方が異なる」という事だ。
分かりやすい事例で紹介すると、先日のコラムでは、「民進党は4.8人に激減」と紹介したが、同じ数字が、今年2月に当時民進党に所属していた都議18人で作った「東京改革議員団」という会派で見ると、13.0人が当選するという事になるのだ。
その理由の一つが「民進党離党ドミノ」と言われた一連の流れの中で、「東京改革議員団」所属の現職都議18人のうち10人が民進党を離党したが、会派としては、そのまま「東京改革議員団」に残っているということがある。
1ヶ月前にこの事について『「都民ファースト」は「偽装民進党」か「偽装自民党」かそれとも「新たな第三党」か【全候補者一覧】』とコラムも書いたが、その後、公明党や東京生活者ネットワークの公認候補が都民ファーストの推薦を取っていく過程で見えてきたのは、推薦候補は選挙では都民ファーストの応援をしてもらうが、基本的には都民ファーストの候補ではないので、選挙後は軸足を置いている政党の方で活動するのだろうという事だ。
この事から考えていくと、「無所属・都民ファースト推薦」の元民進党現職都議会議員たちは、そのまま「東京改革議員団」に残る可能性が高いという事だ。
通常で考えれば政党を離党した人たちと、残った人たちが仲良く政治活動をするというのは考え難いことではあるが、離党後に会派を分けるという議論が出ていない事を考えると、選挙後も仲良くやっていく話になっているのだろうと思われる。現在、元民進党の現職都議で都民ファーストの推薦を取っているのは8人だが、既にもう1人も支援を求めていくと公言していたりもする。
元民進党議員を含めると民進党関係議員が18.5人当選で議席を増やすという予測
図表: 東京都議選予測 所属政党・会派別一覧
元民進党は現職都議だけではない。
都民ファーストの公認・推薦候補の中には他にも9人の元民進党候補がいる。
このうち5.5人が当選すると予測した。
この中には、推薦候補と公認候補が混ざっているが、少なくとも公認候補については、当選したらさすがに「都民ファーストの会 東京都議団」に入るのではないかと思う。
民進党に不信感を持つ有権者からすると「元民進党」というだけで、嫌悪感を抱く人もいるかもしれないが、出所がどこであれ、最も重要なのは「今、どこに本籍地があるか」ではないだろうか。
その意味では、都民ファーストの候補者とは言っても、「公認」なのか「推薦」なのかは、会派構成も含め、選挙後の都政に影響を及ぼすかもしれない。
ただ一方で、政治の世界は一寸先は闇である。
「小池新党」という形で国政政党にまで創設され、その動きが活発になっていけば、そこに求心力が生まれる一方、将来的に小池知事が自民党に戻り、都民ファーストが解散ということになれば、都議たちは元の政党に戻るということもあるのかもしれない。
そう考えると、元民進党議員も含めた民進党関係議員の当選予測は総勢18.5人。
これだけ逆風が吹く中、民進党関係議員が逆に議席を増やすという予測結果になったというのは、ある種驚きの結果かもしれない。
選挙後の実質与党は公明+ネット+民進? 場合によっては自民との連携もありうる
選挙後の実質的な与党構成も考えておかなければならない。
小池知事自身が政党の代表者を務めるので、都民ファーストは基本的に与党会派の位置付けになる。
それに加えて、全員が推薦候補になっている公明党、おそらく選挙直後は政策協定も行なって候補者1人を推薦している生活者ネットも与党的な立場を取ることになるだろう。
ここまではいい。
ただ、選挙の結果によっては、この3つの政党だけでは過半数の64議席に届かない可能性がある。
今回の予測においてもこの3党の予想議席の合計は62.2人とわずかにたらない結果となった。
先日のコラムでも「市場問題についての結論を出して一気に都民ファーストブームを創ろうとしているとの噂もあり」と書いたが、推計は5月時点のデータでおこなったもので、この後、小池知事が代表となった都民ファーストは、さらに議席を増やしていく可能性もあるが、仮にこの枠組みでも過半数を割った場合、次に連携してくる可能性が高いのは民進党になるのではないかと思う。
2017年度予算については共産党までが賛成したわけだが、共産党はあくまで是々非々ということになるだろうから実質的な与党を形成する事にはならないだろう。
維新はこれまでの状況で見ると知事とは対立姿勢を見せている。
むしろ長期的な視点に立った場合には、選挙後は自民党もまた知事に少しずつ寄っていくのではないかと思う。
一方で、国政の構造に引っ張られ、自公で連携していく事になると、今回の予測でもこの2党で68.1人と、一気に過半数を超える構造になる事だって考えられる。
個人的には、毎回のことだが、自公民はいつも通り、いつの間にか実質的な知事与党という形になって、議会改革は相変わらず進まないという事になって行きそうな気はしている。
同じような事を繰り返さないためにも、都議会をちゃんと改革してくれる政治家は誰なのかについても同時に吟味して選んでもらえればと思う。
高橋亮平(たかはし・りょうへい)
一般社団法人政治教育センター代表理事、NPO法人Rights代表理事、一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、千葉市こども若者参画・生徒会活性化アドバイザーなども務める。1976年生まれ。明治大学理工学部卒。26歳で市川市議、34歳で全国最年少自治体部長職として松戸市政策担当官・審議監を務めたほか、全国若手市議会議員の会会長、東京財団研究員、中央大学特任准教授等を経て現職。学生時代訴え続けた18歳選挙権を実現。世代間格差問題の是正と持続可能な社会システムへの転換を求め「ワカモノ・マニフェスト」を発表、田原総一朗氏を会長に政策監視NPOであるNPO法人「万年野党」を創設、事務局長を担い「国会議員三ツ星評価」などを発行。AERA「日本を立て直す100人」、米国務省から次世代のリーダーとしてIVプログラムなどに選ばれる。テレビ朝日「朝まで生テレビ!」、BSフジ「プライムニュース」等、メディアにも出演。MXテレビ「TOKYO MX NEWS」で解説も務める。著書に『世代間格差ってなんだ』、『20歳からの社会科』、『18歳が政治を変える!』他。株式会社政策工房客員研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員も務める。
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