【映画評】こどもつかい

提供:松竹株式会社

とある郊外の街で、子どもたちが次々に姿を消し、戻ってきた子どもに遭遇した大人は3日後に謎の死を遂げるという連続不審死事件が発生する。新人の新聞記者・駿也は、事件の調査を始めるが、そこで“子どもの呪い”の噂を耳にする。一方で、駿也の恋人で保育所勤務の尚美は、母親が迎えに来なかった男の子をあずかるが、不用意な言葉で男の子の心を傷つけて恨みをかってしまう。二人の前に謎の男“こどもつかい”が現れ、男に操られるように子どもの霊が出現。駿也は尚美を守るため、呪いのルーツの核心に近づこうとするが…。

謎めいた“こどもつかい”による怪事件の恐怖を描く「こどもつかい」。「呪怨」シリーズなど、ジャパニーズホラーの名手・清水崇監督がオリジナルストーリーで描くホラー映画だ。新聞記者の駿也が調べる都市伝説のような呪いの噂は、調べていくうちに、貧困家庭の児童虐待の実態へとたどりつく。駿也の恋人の尚美はかつて自分が母親から虐待されていた過去を持っていて、そのことが、二人を謎めいた呪いへと導いていく。子どもが、謎めいた人物に操られて行方不明になるという設定は、どこか“ハーメルンの笛吹男”に似ているが、ここでは行方不明になる子どもが大人に恨みを持っているというのがミソだ。古い伝承に、児童虐待という現代的な病巣を組み合わせ、恐怖を演出したところが興味深い。

こどもつかいの呪いの源は、ちょっと意外だが、こどもつかいのいでたちを見れば、勘がいい映画ファンなら、なんとなく予想がつくだろう。しかし、問題はホラー映画なのにさっぱり怖くないということだ。こどもつかいは映画初主演の滝沢秀明が演じているが、ジャニーズのアイドルの哀しさか、特殊メイクも衣装もなんだかステージ衣装に見えてしまって困った。子どもたちの怨霊は、それでもどこかで優しい親を求めている。門脇麦演じる尚美が母親に抱く屈折した愛情が悲しかった。
【50点】
(原題「こどもつかい」)
(日本/清水崇監督/滝沢秀明、有岡大貴、門脇麦、他)
(恐さ度:★★☆☆☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年6月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。