日本語のできない子供への日本語指導とデジタル教育の可能性

文部科学省は6月13日に「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成28年度)」の結果を発表した。日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数は34,335人で前回2年前の調査より5,137人増加し、日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒数も9,612人と前回調査より1,715人増加したという。

この結果は国際化が進むわが国の現状を反映する。外国人が日本に住むようになっただけでなく、帰国子女も増加の一途をたどっている。

この調査で一つ気になったことがある。日本語指導が必要な外国籍の在籍人数を1校当たりでみると5人未満の学校が全体の約4分の3を占め、日本国籍では5人未満が9割近くを占めたという点である。

5人未満では日本語指導教員を配置できないので、これらの児童生徒は放置されてしまう。日本語能力が伸びなければ、将来、彼らは日本社会で孤立するかもしれない。

文部省調査によれば、「特別の教育課程」による日本語指導を受けている外国籍は42.6%で、日本国籍は38.8%だという。前回調査に比較すれば外国籍では18.7%増加、日本国籍では18.8%増加と改善の方向にはあるが、放置されている児童生徒も多いことが読み取れ心配である。

今、教室では紙の教科書が利用されている。一方、デジタル教科書では日本語のテキストを外国語に自動翻訳できるから内容がわかるようになる。日本語と外国語を交互に表示すれば日本語が覚えられる。これらの児童生徒も、デジタル教科書を使えば、他の子供たちと一緒に勉強できる割合が増す。それだけ、彼らにとっては社会への包摂の可能性が高まるわけだ。

国際化の歩みは止められず、日本語ができない児童生徒の数はこれからも増えるだろう。彼らができる限り早く日本に包摂されるようにデジタル教科書に期待する。