1年間で乳牛1頭が出すふん尿は23トン、これで80kg水素をつくることが出来ます。水素80kgでFCV(水素燃料電池自動車)は10000km走ります。これは自家用自動車の平均年間走行距離に匹敵するのです。牛1頭でFCV1台の年間燃料となるのです。鹿追町は人口5500人、乳牛11500頭、肉牛11000頭、酪農・畜産で2016度生産額は167億円です。ここから年間30トンのふん尿が発生するのですが、今利用しているのは20万トン分、残りの10万トンは利用されていません。水素を更に多量に製造する能力があるのですが、町の人口規模からすると利活用に限界があるようです。各農家においてあるコンテナにふん尿を入れてもらい毎日引き取りに行き、鹿追町環境保全センターに運んでもらっています。
環境保全センターで、ふん尿からバイオガスをつくり、そしてメタンを取り出し、水蒸気改質で水素を製造しています。つくられた水素は併設されている水素ステーションに供給され、FCVや燃料電池フォークリフトに充填されています。他にも水素を純水素型燃料電池に取り込み空気と反応させて、電気を製造しています。水素燃料電池で作られた電気を利用して、キャビアを産み出す「蝶鮫」の養殖、マンゴーの実験栽培を行っているのです。蝶鮫は養殖を開始して、まだ日が浅いのでキャビアは採取できていません。約7年の歳月が必要とのこと。
環境保全センターの視察を終了し、意見交換会の場「びっくり寿司」というお店に移動しました。内陸部の町で、牛がたくさんいるとなればステーキか何かを食べるのかと思いきや寿司屋だってのです。予想に反し、コースで出てきたのは「蝶鮫コース」でした。キャビアとして卵を食べるのは理解していたけれど、蝶鮫そのものが食べれることは知りませんでした。しゃぶしゃぶ、てんぷら、お刺身、姿煮、軟骨揚げ、にぎり、皮の酢もの、蝶鮫は全てを食すことが出来るそうです。白身の魚のようで、淡白でもあるが、刺身になると脂がのっていて、正直、美味しかったです。
何年か前に、水素の視察で米国トヨタを訪問した際に、牧場の牛ふん尿で水素をつくり、FCVに充填して走るイメージ動画を見せてもらったのです。正に、北海道の鹿追町でそれが現実となり、新たな時代を迎えようとしています。新たな時代が始まるという実感を得た視察でした。
編集部より;この記事は衆議院議員、福田峰之氏(前内閣府大臣補佐官、自由民主党、比例南関東)のブログ 2017年6月21日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、ふくだ峰之の活動日記をご覧ください。