都民ファーストは45〜48議席で圧勝になりそう
いよいよ東京都議会議員選挙が明日7月2日に投開票となる。
都議選については5月時点のデータ分析で1ヶ月前に『【東京都議選大胆予測・全候補者選挙区別一覧】自民が第1党。都民F+公明過半数届かず、民進は激減か』を書いたが、その後の小池知事の代表就任など都民ファーストの追い風と、さらに国会での加計学園・森友学園の問題、共謀罪の審議と自民党の支持率が下がり、さらに都議選告示後も防衛大臣などの失言、所属議員の暴行問題など自民党にとってはこれでもかとマイナス要素が続き、一気に都民ファースト圧勝の方向となっている。
主要マスコミや政党などによる世論調査においても都民ファーストは45〜48議席と第1党になるデータが出ている。
一方で、自民党は39〜41議席に留まりそうだ。
簡単に言えば、自民党が減らした議席を全て都民ファーストが持っていく方向だ。
民進党は自民党の敵失を生かすことなく3〜4議席と激減の公算が大だ。
明るい話題といえば、唯一、武蔵野市選挙区の松下玲子 元都議がこの逆風にも関わらず定数1議席の激戦で自民党、都民ファーストを倒して、議席を取りそうだということだろうか。
以前のコラム『「小池新党」は蓮舫民進党が急接近でいいのか…? 都議会自民党と全面対決へ』で「民進党の元都議に至っては、「希望の塾」に入らなかった者が、「あなた以外はほとんどが希望の塾に入っているが大丈夫なのか?」と指摘されるほどの状況になっているという。」と紹介したが、松下玲子元都議こそがまさにこの唯一、希望の塾に入らなかった人だ。
こうした志を貫いた政治家が有権者から認められるというのは、まだまだ政治も捨てたもんじゃないなと思う。
この武蔵野市の戦いは、今後の民進党にとっても大きな可能性になるのではないかと思う。
公明党は21〜23議席の方向で、全員当選できるかが注目になりそう。
共産党は当選ラインの前後にいる議員が多く、最後の状況によって伸びる可能性もあり9〜16議席といったところになりそう。
生活者ネットはなんとか1議席は確保できそうな情勢だ。
いずれにせよ、選挙情勢は最終局面になってきており、当日の天気も気になるところだが、都政史上もっともドラスティックな選挙にするためにも、これまで投票に行かなかった皆さんが投票に行くことに期待したい。
都民ファーストの原点は「かがやけ」と「7人の侍」だったはず
都民ファーストは今回の選挙で公認50人、推薦が元民進党8人を含めて無所属12人、公明党が23人、生活者ネットワークが1人の36人となっている。
公認のほか推薦のうち無所属の12人を含めた62人のうち、冒頭で紹介したように45〜48人が当選することになりそうなわけだが、一方で、そのほとんどが新人になる。
有権者の皆さんからすれば「既存の政治を変える!」という思いであるので、むしろ望むところでもあるのだろうが、今後の「都政改革」を本当に進めて行くためには、核となる経験者も重要になってくる。
政党としての都民ファーストの会については、代表の小池百合子知事、前代表の野田数幹事長などが中心となって行くのだろうが、少なくとも都議会議員による会派についてはそういう訳にはいかない。
現在、都議会会派である「都民ファースト 東京都議団」を構成するのは音喜多駿都議(33・北区)、上田令子 都議(51・江戸川区)、両角穣 都議(54・八王子市)、山内晃 都議(48・品川区)、木村基成 都議(47・世田谷区)の5人。幹事長は音喜多都議が務める。思い返せば、小池知事が都庁に初登頂した時に迎えた都議は、たった3人だけだった。
今回、45〜48人近い当選が出ると言われている都民ファーストだが、この段階であらためて原点となった都知事選の際から小池知事を応援してきたのは、誰だったのかは確認しておきたいと思う。
当時、かがやけTOKYOだった音喜多駿都議(33・北区)、上田令子 都議(51・江戸川区)、両角穣 都議(54・八王子市)の3人の都議と、小池知事の衆議院時代の地元で支えた7人の侍、今回の候補者で言えば、本橋弘隆 元豊島区議(55・豊島区)、尾島紘平 元練馬区議(28・練馬区)、村松一希 元練馬区議(36・練馬区)だ。
都議会第1党という形になったとしても、こうした功労者たちには、しっかりとその中心においてもらいたいものだと思う。
府中市は、全2議席を獲得して都民ファースト圧勝の象徴区にできる
一方で、都議会に限らず議会の中では、当選回数が重視されることが多い。
これまでの常識にとらわれる必要はないと思うが、ちなみに当選回数はどうなるのかについても紹介しておきたいと思う。
都民ファーストの公認50人のうち現職は、たったの10人しかいない。
そのうち最も期数が多いのは2期で、2期の現職は小山有彦 都議(41・府中市)ただ1人。元職まで入れると伊藤悠 元都議(40・目黒区)と増子博樹 元都議(56・文京区)の3人となる。
こうした中で、現職唯一の2期経験者である小山有彦 都議が選挙で苦戦しているという。
小山都議の選挙区である府中市は定数2議席であるにも関わらず、都民ファーストが新人と合わせて2人も候補者を出しているからだ。
この府中市選挙区、今回の都民ファースト圧勝の象徴的な選挙区になりそうだ。
2議席でありながら都民ファーストが2議席全てを確保できる可能性があるからだ。
先述の調査では、どの調査においても35歳の新人候補が1位でリードしているようだ。
以前からコラムで書いているように、都民ファーストのような浮動票頼りの政党では、組織政党と異なり票割りがしにくい。
府中市を「2議席全てを都民ファーストが確保」という象徴的な選挙区にするためには、都民ファースト支援者は、現職の小山有彦 都議を応援する必要がありそうだ。
この他に、1期の現職では都議会議員団幹事長の音喜多駿 都議(33・北区)、上田令子 都議(51・江戸川区)、両角穣 都議(54・八王子市)、山内晃 都議(48・品川区)、木村基成 都議、さらに田之上郁子 元都議(46・江戸川区)、栗下善行 元都議(34・大田区)が並ぶ。
その意味では江戸川区は都議経験者が争う激戦区と言える。
小池知事を最初から応援し、まさに小池知事の都知事選を江戸川区から始めた当事者が上田令子 都議だった。前回の都議選はみんなの党で当選、その後かがやけTOKYOを創った市民派の議員だ。
一方で、田之上郁子 元都議は、民主党都議だったが前回の選挙で落選し、今回の再チャレンジも連合の組織内候補として組織選挙で戦いを優位に進めている。
ある意味、今回の都議会議員選挙において、「同じ都民ファースト公認候補の中にも色々な候補がいる」という事を象徴的に表した選挙区でもある。
また、上田議員は、私が設立時に事務局長を務めたNPO法人 万年野党(会長:田原総一朗)の行った都議会議員の三ツ星評価でも、最も質問回数の多い議員にも選ばれた三ツ星議員でもある。
本会議の質問だけだが書いたコラムも都議選の候補者評価の参考にしてもらいたい。
『【都議会議員質問回数ランキング】任期4年間で1度も質問しなかったオールゼロ議員が10人』
都民ファースト東京都議団の幹事長は誰が務めるのか、誰がイニシアティブを取るのか
図表:都民ファースト公認・推薦候補の現職・元職一覧
さて、こうした中で、当選後、第1党とも言われる「都民ファースト 東京都議団」を引っ張っていく幹事長は誰になっていくのだろうか。
まず、一般に有権者が頭に浮かべるのは、現在、都議団の幹事長を務める音喜多駿 都議(33・北区)ではないだろうか。
しかし一方で、必ずしもそうならないのではないかという要素が2つある。
1つ目は、先述の観点から言えば、音喜多都議はまだ1期生だからであり、もう1つは、政党としての「都民ファーストの会」の幹事長を務める野田数 元代表との不仲が言われているからだ。
逆に、野田幹事長に最も近いのが、幹事長補佐につく伊藤悠 元都議(40・目黒区)、増子博樹 元都議(57・文京区)だろう。
この2人と共に野田幹事長に近いとして「野田ゴレンジャー」等と報道されているのが、先程も紹介した小山有彦 都議(41・府中市)、さらに中山寛進氏(45・台東区)、尾崎大介 都議(43・北多摩)である。
推薦都議については、一緒の会派になるのか、現在も民進党議員と共に組み続けている会派「東京改革議員団」で組み続けるのかについても重要なポイントとなる。
一般的に考えれば、都民ファースト会派の中心は、当然、公認だった議員が担うべきだと思うが、元民進党の酒井大史 都議(48・立川市)、山下太郎 都議(43・北多摩4)、無所属の大津浩子 都議(57・渋谷区)が4期となるからだ。
その場合に誰がイニシアティブを取るかも重要になる。
こうした視点も最後の最後の視点に加えてみるのもどうだろうか。
「都政大改革」と言って選挙で圧勝し、終わってみたら「その中心は元の人たちでした」では、有権者が納得できるわけがない。
有権者は今回の都議選で投票に行くことはもちろんだが、選挙後の都民ファーストの動向についてもしっかりチェックして行ってもらいたいと思う。
高橋亮平(たかはし・りょうへい)
一般社団法人政治教育センター代表理事、NPO法人Rights代表理事、一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、千葉市こども若者参画・生徒会活性化アドバイザーなども務める。1976年生まれ。明治大学理工学部卒。26歳で市川市議、34歳で全国最年少自治体部長職として松戸市政策担当官・審議監を務めたほか、全国若手市議会議員の会会長、東京財団研究員、中央大学特任准教授等を経て現職
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