圧勝した小池都知事に学ぶ「3つのコミュニケーションスキル」

内藤 忍

Wikipediaより(編集部)

週末の東京都議会議員選挙は「都民ファーストの会」圧勝に終わりました。印象的だったのは小池都知事の巧みなプレゼンテーション力と情報戦略です。

政策はともかく、小池知事のスピーチや演説から、ビジネスパーソンのコミュニケーション能力の向上方法を学ぶことができると思います。講演やセミナーでお話する機会がある私にもたくさんの気づきがあります。例えばこんなことは、すぐに自分の仕事に活かすことができると思います。

1.わかりやすく納得させる「説明力」

小池知事の話し方の特徴は、例え話やキャッチコピーが巧みなことです。また、複雑な物事を「白と黒のどっち」というようにシンプルな選択肢に落とし込み、誰でも自分の結論を出せるテーマに導いていく。世の中には政治や経済に関して充分な知識の無い人たちもたくさんいます。築地問題にしても、本当の論点を理解している人はほとんどいません。「築地は守る、豊洲は生かす」というキャッチコピーで、納得させてしまう説明力はさすがです。

2.相手のニーズをくみ取る「想像力」

スピーチで大切なのは聴衆のメリットになること、聞き手が求めていることをしっかり提供していくことです。選挙になると、ライバル政党の批判ばかりしている候補者もいますが、有権者が何を聞きに来ているのかを想像できないと、耳に入れてもらえません。資産運用セミナーで、参加者は具体的な投資例を聞きたくて来ているのに、延々と一般論を語っているのを聞いたことがあります。ピント外れな内容で、わかりやすい説明をしても、残念ながら相手には伝わらないのです。

3.安心感を与える「信頼力」

小池知事は、どう話すか、何を話すかだけではなく、どんな雰囲気・態度で話すかについても、良く理解しています。聴衆を説得させるために大切なのは、話し手が自信をもって、余裕ある態度で話をすることです。奢り高ぶるのは問題ですが、「つまらない話ですが」「大したことではありませんが」と謙遜ばかりしている人は、相手からの信頼感を得られません。また、ヤジが飛んだり、批判的な質問があったときでも、動揺しないで平常心で対応すれば、聴衆も安心します。話し手の顔色や態度によって、話の内容の信頼性が判断されているのです。

3つの力があることで、有権者は小池知事の発言内容を支持し、それが今回の圧勝につながったと思います。

ユーチューブのような動画サイトには小池知事のスピーチや演説が多数掲載されています。わかりやすく説明するためにどんな手法を使っているか。聴衆の心をつかむためにどんなメリットを訴求しているか。そして、聞いている人を安心させるためにどんな振る舞いをしているか。そんな視点でチェックしてみると、自分の仕事にすぐに活用できるヒントが満載です。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年7月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。