人生100年になって必要なものは健康、人間関係そして「お金」

内藤 忍

少し前に読んだ「ライフシフト 100年時代の人生戦略」という書籍には、人生100年を前提とした新しいライフスタイルの構築の必要性が描かれています。

医療技術の進歩によって、先進国では80年と思われていた人生が、100年を超えてくる。例えば、日本では2007年生まれの子供の半数が、107歳まで生きるという予想もあります。

人生100年が当たり前になってくると、60歳から65歳くらいでリタイアし、20年の年金生活という今までの典型的な老後のパターンが大きく変わります。60歳はまだ現役世代で、70代あるいは80代になっても働くのが珍しくなくなります。老後は「余生」という人生の付録のような位置づけだったのが、新しいライフスタイルを構築するセカンドステージ、サードステージというメインな時間に変わってくるのです。

このように人生がマルチステージ化すれば、50代、60代から起業したり、全く新しい人間関係を構築したりする人も珍しくなくなるのです。

では、そんなライフスタイルの変化の中で、必要なものは何でしょうか。

私は、「健康」「人間関係」そして「お金」だと思います。

健康でなければ、働くことも人生を楽しむこともできません。心身共に健康を保つために、食生活やメンタルコントロールなど体のメンテナンスを意識的に行う必要があります。適度な運動や、口腔ケア、意識的な脳の活性化などをしっかり続けることで、ただ生きているというだけではなく、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を保ちながら、生き生きとやりたいことができる環境が整えられます。

そして、家族や友人、仕事仲間といった人間関係も重要です。年齢を重ねると、新しい人間関係をゼロから作るのは難しくなります。また、一人では生きていけないことを実感することも多くなります。長い間に築いてきた人との関係を大切にして、それを中心に助け合う、支え合う関係がある人は、精神的にも安定し、幸せな毎日を過ごせるはずです。

3つ目は、やはりお金です。年齢に限らず、経済力がなければできないことがあります。一般的に、年齢を重ねるごとに自分の力で稼ぐ力は落ちていきます。気力も体力も緩やかに低下していく中で、生活に必要なお金のために、働くのは辛いもの。早いうちに、お金が稼いでくれる仕組みを作っておくことが、お金の不安を解消するために必須だと思います。

人生100年社会になると、今までよりもさらに格差が拡大することになると思います。経済的な豊かさだけではなく、健康や人間関係についても、時間と共に人によって大きな違いが出てくるからです。

人生100年社会の到来は、例えて言えば、マラソンだと思って人生を走っていたら、ゴールではなく、さらにハーフマラソン走ってくださいと言われるような変化です。80年というマラソンを完走することだけではなく、その先の人生戦略も早いうちから真剣に考えておいた方が良いことは明らかです。

<参考図書>
「ライフシフト 100年時代の人生戦略」 リンダ・グラットン, アンドリュー・スコット

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年7月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。