G20サミット、トランプ大統領の成果とは?

安田 佐和子

ドイツのハンブルクで開催されたG20首脳会議、無事に閉幕しました。英語版の声明はこちらを、日本語版の首脳宣言骨子はこちらでご覧になれます。

さて、G20サミットをめぐるメディアのニュースはというと引き続き批判的な内容が目立ちます。一方でバノン主席戦略官が会長を務めていたブライトバートは、このようなヘッドラインで伝えていました。

▽習主席との対話
トランプ、中国の習主席と貿易と北朝鮮について協議(Trump Talks Trade, North Korea Aggression with Chinese President Xi at G20 Summit.)
→トランプ米大統領と習主席が、写真撮影の短時間で通訳を交えず話し合ったとする各メディアのニュースを基に報道。それによると、トランプ米大統領は習主席を「知る機会を得て光栄だ(honor to have gotten to know)」、中国と「良い関係が築けている(developed a wonderful relationship)」と発言。北朝鮮問題では中国に「感謝」を表明、両者が望むより長い時間を要する可能性に言及しつつ両者の取り組みが「いずれにしても成功する」と述べた。貿易に対しては「米国にとって非常に非常に大きな問題だ(very very big issue)」と語りかけたに対し、習主席は「世界経済のガバナンスを一段と包括的とし、向上する」枠組みを求めたという。

▽ティラーソン、米大統領選の干渉にトランプがプーチンに圧力(Rex Tillerson: Trump ‘Pressed’ Putin on Russian Interference in U.S. Election.)
→ティラーソン米国務長官の発言を報じたAPのツイッターを基に、プーチン露大統領との初の会談でトランプ米大統領が米大統領選挙への干渉を行った可能性について何度となく詰め寄った報道プーチン露大統領はこれらの質問を否定し、ラブロフ外相がAFPに明かしたところトランプ米大統領はこれを受け入れた(注:ホワイトハウス高官はこの報道を後に否定)。また、両者は”明らかに相性はポジティブ(clear positive chemistry)”だったという。

こうした報道と別に、主流メディアは辛口そのもの。

ワシントン・ポスト紙→”G20、自由貿易から気候変動にわたり世界はトランプと足並みそろえず(At G-20, world aligns against Trump policies ranging from free trade to climate change)”

タイム誌
→”トランプのパリ協定離脱が、世界の気候変動対策を強固にさせた理由(Why Trump Pulling Out of the Paris Agreement Led to a Stronger Global Climate Change Plan)”

ザ・ガーディアン紙→”G20サミット、G19は共同声明に明記した気候変動問題でトランプを外す(G20 summit: ‘G19′ leave Trump alone in joint statement on climate change – as it happened.)”、

このほかG20開催中、自身の離席中に長女のイバンカ・トランプ氏が世界の首脳陣が並ぶ椅子に着席させた問題などが取り沙汰されるなど、辛辣な報道が多いことは否めず。しかし、トランプ米大統領は必ずしも世界からの孤立を図っていたわけではありません。G20サミット前の行動を含め、トランプ米大統領の成果を振り返っていきましょう。

・ワルシャワで”西側は生き残る意思を持つのかが、我々の時代における根本的な疑問である”と演説しつつ、北大西洋条約機構(NATO)への関与を表明。ただし相応の負担を求める姿勢は変わらず。

・プーチン露大統領との会談でシリア南西部での「安全地帯」設置と停戦で合意、9日から発効

国連世界食糧計画(WFP)に6億3,900万ドルの供与で合意、ソマリアや南スータン、ナイジェリア、イエメンなどでの飢饉対策に協力へ

・世界銀行が新たに設立する女性の起業を支援する基金に5,000万ドルを供与すると約束

さてG20と言えば世界の首脳陣が一同に会し、数々の握手が取り交わされる舞台です。握手と言えば、トランプ米大統領の得意技ですよね?安倍首相への握手は、余りにも印象的でした。力技とも言えるトランプ米大統領の握手に対し、世界の首脳陣は対策を練っていたのです。こちらをご覧下さい。

ポーランド大統領夫人、トランプ米大統領の差し出した手を華麗にスルーしてメラニア夫人と握手。トランプ米大統領とは、その後で。

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(出所::Newsweek

マクロン仏大統領は、トランプ米大統領が手を振りほどこうとするのを拒むように堅く握手。ちなみにマクロン仏大統領、G20首脳会議での写真撮影で画面向かって左側の前列一番端に立つトランプ米大統領の横に立つため、人波をかき分けていく姿が激写され、話題に。メルケル独首相があからさまに視線を送っていて、シュールでした。

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(出所:Mashable

プーチン露大統領はというと・・気になる方は、こちらの動画でお楽しみ下さい。

(カバー写真:G20


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年7月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。