東京から人が呼べるレストランを地方で作る方法

北海道に行ってみました。現地でいくつかの仕事をしながら、せっかくなので東京にはない雄大な自然を味わいたいと思っています。

初日は千歳空港からほど近いリゾートホテルに宿泊しました。ゴルフ場が併設されている風光明媚な北海道らしい施設です。平日ということもあって、宿泊しているのは2組だけ。レストランはほぼ貸切状態でした。

夕食のフレンチは、若手のシェフが作っていました。帆立やウニなどの北海道の地元の新鮮な魚介類や、高品質のお肉で丁寧に調理され、盛り付けや味わいに洗練されたものを感じました。この手のリゾートに行くと、昔ながらのこってり系のボリューミーなフレンチが出てきて、食べきれないという場合が多いのですが、軽快で最後のデザートまで安心して頂くことができました。

土とキノコを模したアミューズ(写真、美味しかったです)のような、最新のトレンドをしっかり勉強している、研究熱心なシェフであることがわかりましたが、やはり東京と北海道には、情報の格差があることを感じます。

日進月歩で変化を続けている料理の世界では、最新の情報収集には人気店を食べ歩き、自分の料理に取り入れていくことが必須です。箱根のオーベルジュもそうですが、自分のお店に籠ってしまうと、外からの情報が得られなくなり、気が付かないうちにオールドファッションな料理として陳腐化してしまうのです。

最近は、有名店のスターシェフが惜しげもなく、料理のレシピを公開することも増え、誰でも調理方法を知ることができるようになってきました。しかし、料理とは写真やレシピを見ただけで、再現できるものではありません。完成した料理をお店に行って味わうことによって、微妙な味付けや食感といったものを実感できるようになります。

東京のような最先端の情報が集まり、有名店が競争している場所に行って、最新のトレンドをいち早く取り入れることがレストランのシェフにも求められています。食にもファッションと同じ感覚が必須なのです。どんなに研究熱心なシェフであっても、東京からの距離というのがどうしてもマイナス要因として働いてしまうのです。

しかし、地方には、新鮮で独創的な食材という東京には無い武器があります。情報で東京に勝てないのであれば、トレンドを追い求めるのではなく、ここでしか食べられない素材を活かした料理を追求した方が、きっと評価が上がるのではないかと思いました。

最近は東京の有名店のシェフが、地方に出かけて、その土地の特産品を使った料理を提供するといった試みも広がっています。東京の最先端の情報を、地元の最高品質の食材と組み合わせる「いいとこ取り」のイベントです。

日本国内だけではなく、世界のあちこちに出かけて食事を味わうと、インターネットが発達しても超えられない情報の壁があることを痛感します。であれば、地方がやるべきことは、東京のモノマネをすることではなく、東京では手に入らないものを提供することです。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年7月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。