スウェーデン中央銀行(リクスバンク)も緩和バイアスを解除

7月4日のスウェーデン中央銀行(リクスバンク)は、政策金利のレポ金利をマイナス0.5%で据え置いた。また、当面の追加利下げの可能性を否定し、政策金利は2018年半ばまで現行水準にとどまるとの見通しを示した。

声明では「インフレ率が最近、予想を若干上回る上昇を続けていることと、海外からの悪影響のリスクが低下したと考えられることから、政策金利のレポ金利をさらに引き下げる可能性は目先後退した」と説明した(ブルームバーグ)。

リクスバンクのイングベス総裁は記者会見で「緩和政策の縮小や利上げは時期尚早」と発言したものの、ECBと同様に追加緩和に向けた前傾姿勢から普通の姿勢に戻したといえよう。

カナダ銀行(中央銀行)は7月12日の政策決定会合で、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%引き上げ、年0.75%とした。カナダ銀行の利上げは2010年9月以来、6年10か月ぶりとなる。

6月27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、ECBのドラギ総裁は景気回復に即した緩和策の調整、つまり景気が順調に回復するのであれば、緩和効果を一定に保つための政策修正の可能性を指摘した。つまりECBが年内にも理事会で政策修正を検討する可能性が出てきた。

また、ドラギ総裁は今年のジャクソンホール会合に3年ぶりに出席すると伝えられた。ECBは資産買い入れを段階的に縮小する方針を9月の政策理事会で示唆するのではとの観測が出ている。

このように、ここにきて欧米の中央銀行は、FRBを筆頭に緩和政策を解除しての正常化、もしくは緩和バイアスを解除する方向で足並みを揃えてきているように見受けられる。これは6月27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムにおいて、為替に影響を与えることのないように、なんらかの密約があったのではとの観測も出ていた。

BISによる直近の年次報告書によると、金融政策正常化の議論をしていたことが示されていたが、それが徐々に実行に移されているように見受けられる。報告書では「インフレ率が上がらなくとも、長期にわたり金利を低過ぎる水準に維持すれば、金融安定とマクロ経済のリスクを将来的に高めかねない。債務は引き続き累積し、金融市場のリスクテークは勢いを増すことになる」と指摘していた。

ただし、この動きのなか、緩和バイアスの解除もできずにいるのが日銀となっている。それでもいまのところ円安の動きは緩やかなものとなっている。しかし、日銀と欧米中銀の金融政策の方向性の違いが、あらためて為替市場で材料視され、大きく円安が進むようなことになると、日本に対して海外から批判が出てくるようなこともありえよう。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年7月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。