1番じゃなきゃダメですか?

グローバルにおける技術開発は、最初でなければならない。1番は特許料をいただき、2番以下は特許料を支払う立場だからだ。

一方、ローカルにおける政策協奏は、必ずしも最初でなくてもかまわない。地域独占である自治体の政策では、特許料という概念はないからだ。その地域の住民のために役立つことは、どんどん真似すればいい。先進事例を置き換えたらいい

★★★
この「地域づくりは楽しい」ブログは、良き、できれば最良の教科書でありたいと思っている。長島町(鹿児島県)副町長などの実践や、プロが厳選した全国のさまざまな分野の事例は、政策立案や地域づくりに役立つと信じている。より良い地域のためにどんどん真似をしてほしい。

1番でなくてもいい。
という考えは、他地域との関係だけでなく、個々の政策を実現する際にも大事な考えだ。

常々考えているリーダーは、自分のやりたいことを、ときに強烈に持っている。しかし、そのやりたいことを細かく指示するだけでは、うまく進まないのではないだろうか。

これでなければダメ。
という指示は、上司と部下の関係では機能するときもあるが、それを細かくやればやるほど上司の時間的・物理的な制約の中でできることは限られるし、基本的に上司の考えの劣化縮小コピーしか生まれない。部下などの新しい発想はまず取り入れられないだろう。

とりわけ、さまざまな主体が関わる地域づくりにおいては、「これでなければダメ」の考えの弊害が顕著になる。リーダーが1番やりたいことでなくても、当事者がやりたいことをやらせる、その力を引き出すことが何より大切だ

例えば、ある高校を存続させるために、取り得る選択肢としては、
・特定の分野に特化して比較的広範囲から集める
・地域に密着してさまざまなニーズに細かく対応する
などいろいろ考えられるが、これまでの経緯を踏まえ、当事者がやりたいことをやらせるのが結局は一番うまくいくのではないか。当事者の熱意がなければ、何事もうまくいかない

もちろん、方向性から大きく外れるときなどに、「ダメなことはダメ」とはっきり言うことも大切で、そのバランスが難しいのだが・・・

これでなければダメ」という考えは恐ろしい。
例えば、移住者は草むしりして、消防団に入って、PTAをやって、自治会活動に取り組まなければ・・・何をやってもダメという考えが住民の間に横行すると、そんな地域に移住者はまず来ないだろうし、衰退を余儀なくされるだろう。さまざまな関わり方があっていい。

1番じゃなきゃダメですか?2番目でも3番目でもええんちゃう。
と、自問することは有効ではないだろうか。

もっと知りたい
古今東西、地域が発展するために1番大切なこと

4eb2faa6[2]

<井上貴至 プロフィール>

<井上貴至の働き方・公私一致>
東京大学校友会ニュース「社会課題に挑戦する卒業生たち
学生・卒業生への熱いメッセージです!

<井上貴至の提言>
杯型社会に、求められること


編集部より:この記事は、愛媛県市町振興課長(総務省から出向)、井上貴至氏のブログ 2017年7月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。