事業の成功

北尾 吉孝

BUSINESS INSIDER JAPANに先々月17日、『グーグル会長が語った「価値を生み企業を成長させる人材のたった2つの資質」とは』という記事がありました。エリック・シュミット氏曰く、「知識経済においては、根気強さと好奇心の組み合わせが成功を収めるかどうかの最高の指標となる」ということです。

私も嘗て、『「しつこさ」と粘り、「かわいさ」と愛嬌』(14年7月11日)や、『努力の重要性~人間の差を生むもの~』(12年7月26日)と題したブログを書いたことがあります。ですから、根気強さは大事なことだと思いますし、好奇心も非常に大事だと思っています。但し、「成功を収めるかどうかの最高の指標」かどうかと言われれば、少し違うような気がします。

「価値を生み企業を成長させる」ためには、先ず事業の根幹に世のため人のためということを据えねばなりません。世のため人のためになるサービスを提供したり製品を作って、適正利潤を乗せて競争に耐え得る価格で販売していたら、基本赤字になることなど無いと思います。

従って、世のため人のためになるものは、今現在はっきり分かっているよりも、これから後そうなるだろうと先見する方が、非常に大事になると思います。確かな先見性(、先見の明、目利き力)を持ち近未来を予測して、時間の経過と共に需要が増え売上が伸びて行く事業を選び出すということです。

此の辺りの話については当ブログでも、『世の中の一歩先を行ったらあかん』(15年9月7日)、あるいは『商売というもの』(16年8月22日)等で触れたことがありますが、つまりは如何なる方向に世が動いて行くのかを、人より先に捉え、人より先に動く中で勝機を掴むということに繋がるのです。

そうして方向性を見出して動き出したら、時代の先を行っているわけですから、時代が追い付いてくるのを待たねばなりません。それに耐え軌道に乗せて事業を続けて行こうとする時に、冒頭挙げた粘りや根気強さといった類が大事になってくるでしょう。成功を収めるためには、若干のタイムラグを持って大きな波が押し寄せてくるとの確信を抱きながら、世のため人のためチャレンジし続けて行くということでしょう。

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