トランプ米大統領がアメリカ人を幸せにしている、2つのコト

安田 佐和子

ロシアゲートやらホワイトハウスの内紛、メキシコ大統領との電話会談をはじめとしたリークなど、話題に事欠かないトランプ米大統領。支持率はリアルクリア・ポリティクスの支持率平均で8月2日、過去最低を更新してしまいました。

支持率は38.4%へ低下、不支持率は56.9%まで上昇。

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(作成:My Big Apple NY)

不満や批判に溢れておりますが、トランプ米大統領の功績を忘れてはいけません。足元で小売売上高は2ヵ月連続で減少し、個人消費支出も伸び悩むとはいえ、ダウは8月3日までで7日連続で最高値を更新して引けています。

ニクソン元大統領時代から遡った歴代大統領別の就任6ヵ月リターンでは、S&P500で3位にランクインし8.9%でした。オバマ前米大統領のようにどん底から這い上がってきたわけではない事情を踏まえれば、上々ではないでしょうか。

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(作成:My Big Apple NY)

原動力は様々あれど、税制改革・規制緩和・インフラ投資の期待が剥落する環境下でも米株が堅調な理由として、ドル安が挙げられます。

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(作成:My Big Apple NY)

特にダウは、構成銘柄に海外売上比率が高い銘柄が多い。資本財の一角が70%、IT大手は65%、製薬大手は50%など、ドル安の恩恵が見込まれるというわけです。テクノロジー株のウェイトが17%とS&P500の23%を下回るとはいえ、金融株が18%とS&P500の15%を下回る事情もあります。

政治混迷も、ドル安を促しダウを中心とした米株にはプラスに作用しています。例えばスカラムッチ広報部長が更迭された7月31日、ダウは過去最高値を更新した一方でドル指数は2016年5月以来の安値をつけました。

上半期の米成長率は1.9%増となり、2016年の1.5%増に続き今年も2%割れに終わる可能性が浮上中。内需株で占めるラッセル2000種指数は、米景気の鈍化を先取りするかのように7月25日でピークアウトしダウと正反対の動きを示し始めています。

医療保険制度改革(オバマケア)の代替案移行は絶望視され、税制改革が年内成立する目途は立たず、債務上限引き上げ交渉にも暗雲が立ち込め、資産圧縮を発表するであろう9月にかけ市場に波乱が訪れるリスクが立ち込めます。しかし少なくとも現状、トランプ政権が意図せざるドル安誘導に成功し米株高を演出していることに変わりありません。おかげで家計資産は過去最高を更新中で、金融資産に占める株式の割合も35%近くと、少なくとも2年ぶりの水準へ上昇してきました。8月2日に、ホワイトハウスがダウの高値を更新に胸を張り、声明をリリースするはずです。

(カバー写真:Carl Lender/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年8月4日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。