炎上を乗り越えた鯖江市のJK課。若者叩きよりも、攻める政策を

こんにちは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

昨日プログラミング教育についてご紹介した鯖江市レポートの第二弾は、若者政策です。

昨日のブログはこちら。

鯖江市は小中学校全教員が遠隔プログラミング研修!子どもたちも、ロボットつくっちゃった!

若者政策に関しては、新宿区議会でも提言を続けてきたところですが、ちょうどつい先日、第一回しんじゅく若者会議が行われました。

新宿区の取り組みについてはこちら。

ITやベンチャー、民間活用など、普段の議会と質が違う!第一回しんじゅく若者会議開催

また、全国では新城市若者議会、あるいは民間の取り組みとしてクラウドファンディングが用いられた名古屋わかもの会議などがあります。

新城市や名古屋わかもの会議の取り組みはこちら。

新城市若者議会は若者が主役!予算1000万で政策実現

民間企業も一緒に。名古屋わかもの会議でまちづくりの主役へ

鯖江市と言えば、市長になったつもりで市政に提言を行う「鯖江市地域活性化プランコンテスト」が有名です。

鯖江市地域活性化プランコンテスト | 市長をやりませんか?

全国の大学生が集まり、市長になったつもりで提言を考えるイベントですが、その運営も学生が中心となり行われています。
そもそもこの企画の立ち上げ自体、竹部さんという一人の若者からスタートしました。
資金も市からお金を頼ることなく、地域の企業から集めたそうです。

よそ者・若者・バカ者と地域の人で共につくりたい。「鯖江モデル」を全国へ。-workstory(ワークストーリー)

とにかく提案があったものは実現できるか検討することが、鯖江市の特徴です。
新宿区でも若者会議では様々な提案がありましたが、単なるヒアリングの場にならないよう、しっかりとチェックをしていきます。

また、メディアでも話題になったJK課も、鯖江市の取り組みです。

鯖江市役所JK課

若者会議を提言する際にも、JK課についての事例を引用しながらご紹介させていただきました。
しかしJK課はその強烈なコンセプトゆえ、当初は炎上してしまい大変だったそうです。
例えば、
「新しいJKビジネスか!?」
という批判があったそうです。

まず「JK」という単語は若者の間では当たり前に使われている言葉で、最近話題になっている「JKビジネス」とは全くの別物です。
鯖江市の方からではなく、都市部からの批判が多かったようですが、
「そもそも、鯖江市にはJKビジネスなんてものが存在しないから、市内でそんな批判はありません。」
と職員の方がお話しされていたのが、印象的でした。

JK課は、市政に無関心なイメージがある女子高生に限定した方がインパクトがあるんじゃないか、という発想からスタートしています。
「男子は無視か!そもそも高校生に何ができるんだよ!税金の無駄遣いだ!」
という批判が、こちらも主に市外からあったそうです。
まず、男子高校生も別プロジェクトで募集していたそうで、無視をしていたわけではありません。
そして、まちづくりは大人が正解を決めれば良いものでもありませんし、高校生にしかできないことも必ずあるものです。

私も若者会議の提言を行っていた段階から、議会やブログ等を通じて、丁寧に必要性をご説明させていただきました。
少なくとも議会や区役所では一定の理解をいただいてきたと思っていますが、それでも必ず区内外から厳しいご意見をいただくことがあります。

しかし、鯖江市は特にまちづくりに熱心な方が多いです。
市民ボランティアが活発で、さらに合併の話が出た際は市長をリコールしたこともあったそうです。
こうした経緯から市内では大人たちが若い世代を応援し、若者のやることに口を出さずに必要な支援を行ってきました。

このような取り組みに税金を投じられたのではないかという点ですが、こちらも大人たちの応援により思った以上に少ないという印象でした。
JK課の提案者はメディアでもお馴染みの若新さんですが、費用は鯖江までの交通費と大学へ調査費として50万のみと、非常に少額です。

JK課でも、実際に提案を実現することが前提です。
例えば提案があったアプリの開発は、福野さんの会社が無償で開発をすることで実現し、税金が投じられていません。
税金を食い物にするどころか、大人が若い世代を応援することで、公民連携が実現した非常に優れた取り組みだと思います。
「若い世代を信用して任せちゃおう!」
というゆるさがあったからこそ実現した事例です。
炎上を乗り越えて、今では鯖江市のPRにも大きく貢献した事例ですが、民間の力があってのことです。

また、これまで代表質問を行なってきたように、若者会議にも高校生を積極的に巻き込めるよう、引き続き鯖江市の事例を参考にさせていただきます。

先日の若者会議でも、普段の区政ではあまり見られないベンチャー的な発想で発言をされる方もたくさんいらっしゃいましたが、それこそ人工知能の普及などを見据えて必要な視点です。
若者を支援の対象としてのみ考えるのではなく、質を高めながら区民や将来世代の負担を軽減する区政を実現するためのエンジンとして、攻めの若者が絶対に必要です。
これからも、若者でも政策が実現できるという場を新宿区にも増やしていきたいと思います。

そして、攻めるのは若者だけに限ったことではありません。
例えば、シニア世代にも様々な方がいらっしゃって、最近ではシニアプログラミングという分野での成功事例もあります。
シニア世代も支援の対象としてのみ捉えるのではなく、豊富な人生経験や自己資金を活かし、区政改革のエンジンとしてご活躍いただくことが望ましいと考えています。

それでは本日はこの辺で。