民進党の代表選挙は盛り上がらないが、意外に大事である。今の情勢では前原氏が当選すると思われるが、民進党の94議席という勢力は中途半端で、選挙協力なしには生き残れない。民進党というのは過渡的な政党で、いずれ再編されるだろう。新しい代表は、その要になる可能性がある。
今の与野党のポジションを「大きな政府/小さな政府」と「改憲/護憲」という2軸で分類すると、図のような感じだ。小池百合子氏は石破氏に近いと思われるが、政策はよくわからない。枝野氏は問題外である。
小泉政権の位置づけには異論があるだろうが、彼は憲法改正を提案していない。保守合同以来、改正を提案したのは安倍首相が初めてである。岸田氏に代表される自民ハト派は池田勇人以来、憲法を改正しないで「解釈改憲」でやってきた。
この図を見ると一目瞭然なのは、ほとんどの政治家が「大きな政府」に固まっていることだ。世界的な「大きな政府か小さな政府か」という基準でみると、異常な政府債務を抱えながら財政拡大と量的緩和を続ける安倍首相は「超リベラル」であり、世界標準の「保守」に相当する政党が日本にはほとんどない。
これは珍しい現象で、どこの国でも財政負担を増やす政党はリベラルに好かれ、保守層にきらわれるが、日本では巨額の国債発行というバッファができたので、全政党がリベラルになってしまった。しいていえば石破氏と維新がやや財政タカ派だが、維新は今のままでは生き残れない。
だから政界再編は避けられない。「前原=小池=自民非主流」が連合すると200議席ぐらい行く可能性があるが、自民党が分裂する兆しはないので、「前原=小池=維新」では150議席がせいぜいだろう。しかし遅くとも来年中にある総選挙に向けて、選挙協力の圧力が強まる。
これまでの経験則では政権交代が起こるのは、1990年のバブル崩壊や2008年のリーマンショックなどの経済危機の後だから、景気がいいと大した変化はないだろう。だが官製バブルがそう長く続くとも思えないので、日銀の出口戦略が政局に影響を及ぼす可能性もある。
1998年の信用不安のあと登場した小泉内閣は、唯一の「小さな政府」をめざす政権だった。1993年の細川内閣でも小沢一郎氏は消費税を7%に増税しようとしたが、失敗した。保守のポジションが大きくあいているので、経済が悪化すると情勢は変化するかもしれない。
追記:私の予想したように、前原氏と小池氏が接近して新党をつくる流れになってきたので、図を修正した。前原氏はこの予想より右の「改憲」のポジションをとるようだ。