ジェームズ・ボンド流、理不尽をチャンスに変える方法

尾藤 克之

写真は参考書籍書影

仕事には理不尽がつきものだ。「部長が全責任をとると言ってたのに、成果が出ないとわかったとたん“突然”ハシゴを外された!」「部長に文句を言ったら、衆目の前で『お前はクビだ!』とか言いやがる!」など、社内で発生する理不尽は数え切れない。多くの人が上司との人間関係に悩みをもつことも間違いないだろう。

では、どうすればよいのか。話は変わるが、実は、約3年半ぶりに出版をした。タイトルは『007(ダブルオーセブン)に学ぶ仕事術』で、私にとっては9冊目の本になる。アゴラでは、「ビジネス著者養成セミナー」という著者希望者のためのセミナーを隔月で、「出版道場」という出版希望者のニーズに応えるための実践講座を年2回開催している。

私は、著者や出版社から献本されたなかで、ニュースとして相応しいものを紹介記事として掲載している。今回はそうしたなかで、記事が編集者の目に留まり出版にいたった。読者の皆さまへ感謝としてご報告を申し上げたい。

社内にはびこる理不尽とは

では本題に戻りたい。誰もが、評価をされたいし、評価されない事案は引き受けたくない。評価されれば、給料もアップし、役職にもありつき、権限を行使できる。さらに権限に応じた経費の執行も可能だ。接待で銀座のクラブに飲みに行けるかも知れない。役員クラスは楽しくていいな、オレも早く出世したいと思っている人はいないだろうか。

「隣の芝生は青く見える」という表現がある。他人のものはなんでもよく見えることのたとえで使用する。役員をはじめとする経営者は日頃から考えられないストレスと闘っている。売上げが足りなければ、役員会でつるし上げられる。「来月達成できなかったらクビ!」「ハァ?死ねやバカ野郎!」など酷い言葉でののしられる。

役員(この場合は取締役)は社員とは立場が異なる。取締役は、株主の委任を受けた経営担当者の位置づけになる。使用従属関係ではなく、株主との委任関係なるから労基法は適用されない。労基法では、社員を解雇するには一定の要件を満たす必要があるが、役員は異なる。拒否したところで株主総会で罷免されて終わりである。

なぜ、ジェームズ・ボンドなのか

大きい書店のビジネス書コーナーは、仕事術の本に溢れかえっている。「上司とうまくやる方法」「部下に信頼させる上司になる方法」「社内の人間関係に悩んだら」など、ケース毎に対処法をまとめた本もたくさん売られている。ところが理不尽が減ることはない。このような理不尽をチャンスに変える方法はないものか。

私はその設定を007のジェームズ・ボンドに求めた。そして007シリーズ第1作「ドクター・ノゥ」から鑑賞し、ボンドの行動特性を分析し傾向を把握することができた。そこには、3つの特徴があった。それは、「仕事のスピード」「仕事は断らない」「最後まであきらめない」の3つになる。次ぎにその3つを簡単に説明しよう。

<仕事のスピードが早い>
仕事ができるか出来ないかは、クオリティもさることながらスピードである。ボンドが仕事に失敗して、あたふたしているシーンは過去50 年間の歴史に存在しない。

<どんな仕事も引き受ける>
ボンドはどんな難題を突きつけられてもクールに引き受ける。仮病をつかったり、体調が悪いフリなどはしない。常に冷静で鋭い洞察力で全体を鳥瞰する。

<最後まであきらめない>
ボンドは目の前に拳銃を突きつけられても諦めない。最後の最後まで諦めないことで打開策が見つかり、窮地を脱することができると信じているのだろう。

理不尽をチャンスに変える

会社や仕事に対する不平不満や悪口はサラリーマンの定番だが、実は不平不満を募らせたところで状況が改善されることは少ない。それよりも働いているなら、ジェームズ・ボンドのように仕事に取り組めたほうがどんなに楽しいだろうか。理不尽でも、職務として取組んでいればチャンスが生まれることもある。

いまは、ブラック企業やパワハラ、うつ病やうつ抜けといった、暗い会社関連の本が多い。仕事は一生やらなければいけないし、本来、会社とは楽しく自分が成長ができる環境であることが望ましいはずだ。私たちの働き方の意義について、ボンドを通じて問題提起をすることが本書の狙いである。

なお、REUTERSによれば、ダニエル・クレイグ(49)が、「The Late Show」のなかで、007シリーズの次作品に復帰することを正式に明かした。心から歓迎申し上げたい。

参考書籍
007(ダブルオーセブン)に学ぶ仕事術』(同友館)

尾藤克之
コラムニスト

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