上司に嫌われて左遷に?逆らわず結果を出すしかない!

尾藤 克之

写真は参考書籍書影


その日は、某物流会社の業務改善コンサルティングを行うための社内会議が開かれていた。既存顧客で、今年は昨年度の1,5倍の成果を上げてほしいとの要望だ。各メンバーでプランを出し合った。そして先方の部長が次のように尋ねる。「この提案だったら1.5倍の成果を上げることができるというのかな?」。

ビジネスの世界に〝絶対〟や〝確実〟はない。あくまでも、〝成功確率が最も高い〟というだけだった。 しかし、ここで折れるわけにはいかない。「もちろんです!1.5倍の成果を上げてみせます!」。「じゃあ、分かった。君の提案を採用しよう。しかし目標を達成できなかったらどうなるか、分かっているな」と先方部長。

1年後。結果、私の提案は失敗した。確かに、顧客の業務を抜本的に改善し、売上を大きく伸ばすことができた。しかし、その数値はわずかに1.5倍に届かなかった。

社内にあなたの味方がいるか

少々、話は変わるが、実は、約3年半ぶりに出版をした。タイトルは『007(ダブルオーセブン)に学ぶ仕事術』で、私にとっては9冊目の本になる。アゴラでは、「ビジネス著者養成セミナー」という著者希望者のためのセミナーを隔月で、「出版道場」という出版希望者のニーズに応えるための実践講座を年2回開催している。

私は、著者や出版社から献本されたなかで、ニュースとして相応しいものを紹介記事として掲載している。今回はそうしたなかで、記事が編集者の目に留まり出版にいたった。読者の皆さまへ感謝としてご報告を申し上げたい。

さて、007シリーズとしては唯一の日本が舞台となっている「007は二度死ぬ」では、ボンドは敵を殲滅するために公安調査庁のタイガー田中と親しくなる。最終的には、田中が敵を襲しゅう撃げきしボンドの救出までもおこなっている。これは、ボンドのような強きょう靭じんな人物であっても味方の存在が重要なことを示唆している。

とかく、ビジネス上の人間関係は、少なからず敵をつくりやすいものである。自分が苦境にあるときに、無条件で応援してくれる人がいてくれると心強いものだろう。利害関係なしに自分の本心をさらけ出し、信頼できる相手。そんな存在が大切である。

愚痴や弱音を聞いてくれる相手、素の自分をさらけ出せる相手がいると、心の安定が図れる。あなたがすでに心のサポーターを見つけているのなら、大切にしたほうがいい。まだ自分の周りにそんな存在がいなくても、焦る必要はない。それにはまず、仕事のプロとして自立することを優先しなければならない。

周囲の評価に惑わされず、自分が正しいと信じたことを実行し、真摯に取り組むことである。やがて、その考えに共感してくれる人が必ず現れる。「本気の自分」を理解してくれた存在は、あなたにとってかけがえのないサポーターになってくれるはずだ。

周囲を納得させるには結果しかない

日本のビジネス社会には上下関係やメンツを重んじる風潮がいまだに残っている。上司に対して積極的に提案することが、常にいい評価につながるとは限らない。やる気を見せているのに、評価を下げられてしまうこともある。

特に能力の高い人ほど、この落とし穴に陥りやすい傾向がある。高学歴で語学力もあり、そのうえ仕事に対して積極的でやる気も十分。申し分のないスキルを身に付けているのに、上司から煙たがられてしまう例は少なくない。

上司から仕事のやり方を指示されたとき、「それよりも、こうしたほうがよいのではないでしょうか」と別のアイデアを提案する人がいる。もちろん、本人にやる気があってのことだが、上司には上司なりの考えがある。それを否定する形になってしまうと、「自分に反発してくる生意気な部下だ」という苦手意識を持たれかねない。

よかれと思って自分の提案を押し通そうとすると関係性が悪化し、上司には「扱いづらい」と評価されて「ブラックリスト」に載ってしまうこともある。こうなると、その後も冷遇されることになりかねない。いいアイデアを持っていても正当に評価してもらえず、頑張れば頑張るほど空回りしてしまう袋小路に入ってしまう。

あなたのすべきことはただ1つ。上司には逆らわず、不平や不満、グチも漏らさずに、ただひたすら上司が求める結果を出すことに集中するしかない。着実に実績を残し続ける。それができたら、周囲もあなたのやる気や能力を評価せざるを得なくなる。「ともかく実績を出す奴だ」と認めてもらえれば、そこから状況はガラリと変わるはずだ。

組織の中には、個人では立ち向かうには難しい壁がある。一度反感を買ってしまったら、動けば動くほどに深みにはまる。こういうときは、周りを変えようとするのではなく、自分を振り返りながら時期を待つしかない。

参考書籍
007(ダブルオーセブン)に学ぶ仕事術』(同友館)

尾藤克之
コラムニスト

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