護憲的改憲派を自称している私としては、自民党が野党転落時代に作成した自民党の憲法改正草案を棚上げして、現在の日本の政治状況に十分配慮した、周到な新しい憲法改正発議案を策定することに賛成したい。
ちょっと安倍総理が先走ったために議論が迷走しかねなかったが、自民党の中でほどほどの議論が出てきたのはよかったと思う。
石破さんのような国防軍創設推進派の方々の議論は、ガチガチの保守層や自衛隊関係者の方々からは熱烈な支持を得られそうだが、どうも一般の国民の感覚とは乖離がありそうである。
自民党の中で博士という異名を奉られるぐらいにこの分野について造詣が深い石破氏の議論ではあるが、石破氏が大きな声を上げれば上げるほど、憲法改正の発議のための環境調整が遅れるのは必至だから、石破氏はこの種の議論の先頭には立たない方がいいのではないだろうか。
ここは、天皇の譲位(生前退位)を可能にするための皇室典範特例法の制定と同様の手法を採るのがいい。
如何にも結論先行のようで、妥協的に過ぎる、どこか原理原則を蔑ろにしているようなところがある、中途半端で、いざという時には困ってしまうのではないかしら、などなど色々な批判があちらこちらから出されて来るだろうが、こういうことはあまり欲張り過ぎない方がいい。
ほどほどの憲法改正発議案の策定が出来れば今は十分だ、と思ってしまうことである。
自民党の衆議院議員時代には、私はこの種の議論に積極的に参加していた。
必ずしも私の意見がそのまま通るわけではないが、私の意見が軽くあしらわれた、という記憶はない。
今は国会議員でもなく、自民党の組織からも離れてしまっているから、この種の議論に参加することが出来ないのが残念だが、立場が変わっても私の意見はそう変わらない。
自衛隊が合憲の存在であることを憲法の条文で明記して、自衛隊違憲合憲の神学論争から脱却すべきである。
そのための憲法改正は、やれる時にちゃんとやったらいい。
多分、来年の通常国会の終了時までが憲法改正発議の最後のチャンスだろうと思っている。
どなたも欲張り過ぎないことだ。
こういう時は、やはり中庸に徹した方がいい。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年9月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。