オリンピックまでに防空壕や新幹線荷物検査の実現を(特別寄稿)

八幡 和郎

アメリカの街中には核シェルターも多い(Ian Weddell/Flickr:編集部)

憲法第9条が北朝鮮のミサイルからの防衛に何の役にも立たないことなどいうまでもない。平和主義は無抵抗でだまって死んでいく覚悟であればこそ美しい。世界をそれで平和にするかは分からないが、聖なる犠牲者としての名声は残るだろう。しかし、第9条があったら安全だというのは、いつもいうのだが、札束を裸で持ち歩いたり、すけすけの衣装で女性が夜道を歩いたら、暴漢も気の毒だと思って襲わないというようなものだ。

現在、北のミサイルから日本を守っているのは、なんといっても、日本に撃ち込んだらアメリカから核兵器の使用も含んだ報復を受けるだろうという恐怖だ。

それに加えて、アメリカが先制攻撃するかもしれないという脅しも効いている。さらに、ミサイルを迎撃されて攻撃に失敗して、そのあと、報復されるだけというのも歯止めになっている。

さらに、度が過ぎると、日本が核武装するかもしれないとか、憲法を改正するかもしれないというのも、抑止力になっているが、そんなことは絶対にしないと約束しろといって日本の安全を脅かして戦争の危険を増加させている自称平和主義者も困ったものだ。私は第9条改正も核武装も慎重だが、その可能性を封じるのは断固反対だ。

それでは、もう少し、平和主義者にも本来、お気に召すような対策はないのだろうか?私は、そういうものに過度に頼るのは賛成できないが、一定の効果があるものはいくつかあると思う。平和主義者というなら、せめて、次のようなことには賛成して欲しい。いずれも国際的には国家主義的とかいわれるようなものでない。 

第一は、防空壕の整備だ。先日からJアラートで待避を呼びかけられても逃げ込む場所がないことを改めて痛感した。

日本人は戦争中の苦い思い出に繋がるからといって、防空壕とか核シェルターが嫌いだ。しかし、こんな話は好き嫌いで判断するべき問題ではない。

原子力発電所だって、至近距離、とくに、地震等で交通途絶が予想される崖の上とか島嶼とかでは、ヘリコプターでの救出まで一定期間、核シェルターに逃げ込まねばならないことはあるはずだ。

都市部では核兵器だけでなく、毒ガスによる攻撃、火山の噴火や隕石など自然災害でも防空壕が有用な待避手段となることはいろいろありうる。たとえば、地下鉄などを防空壕などとしてどう活用できるか考えるべきだろう。

アメリカが厄介に思っている北朝鮮の強さも、軍事力のかなりが地下にあることだといわれている。 

第二は東京一極集中の排除だ。北朝鮮でも平壌が攻撃されても国の機能が全面麻痺しないように工夫している。

ヨーロッパの場合は、ひとつの国の中枢が壊滅しても隣国がバックアップできる。お案じ言語の国も多いのだ。

ところが、日本は東京一極集中が進み、バックアップ体制の構築も遅れている。東京都心だけでなく、関東が壊滅しても日本が滅びるわけでない体制を構築することは、とても大事なことだし、そのこと自体が、東京を攻撃するメリットを減少させる。 

第三は、テロリストや工作員などを排除できる体制の整備だ。外国人のそれらを排除するためには、東洋系の場合、普通の日本人と見分けがつかないから、日本人にマイナンバーカードのような身分証明書の常時携帯を義務づけられない限り実効性がない。海外の主要国で要求されていることが人権侵害であるはずがない。

また、先日、少し必要があってここ20年ほどの自分の住所の変遷を証明しようとしたら、5年で廃棄されて証明するのにひどく苦労した。これではなりすましも容易だと思う。

ともかく、人権とかいって、法務省は、個人の過去が分からなくすることばかりやってきた。同和問題という特殊な事情への対処については理解するが、それ以外については、世界の常識を越えた配慮はするべきでないと思う。二重国籍も知られずに維持できるのもおかしい。

テロの危険性がより高まって急に制度を構築するなど無理だから、今すぐに取り組むべきだ。

第四は、それとも関連するが、公共施設、航空機、新幹線、主要観光地などにおける身分証明書と荷物や身体検査だ。これは、東京五輪までに実施すべきだ。

航空機にどこの誰か分からない人間を乗せるべきでないし、新幹線も同様だし、官公庁や劇場や文化財もそうだ。

中国の新幹線も航空機並みの身体検査に荷物検査、本名での予約と身分証明書との照合がされているのだ。スペインはアトーチャ駅のテロ以来そうだし、ほかの国もその方向だ。

イタリアなどではクレジットカードを利用する時、暗証番号と身分証明書のダブルチェックが一般化している。