会議規則を知らない朝日新聞

山田 肇

安倍政権の足を引っ張ることを社是とする朝日新聞とはいえ、記事『発言、省庁間すり合わせ 内閣官房、議事録作成に「方策」 決定過程、不透明に』(9月21日4面)はひどすぎる。

これは、省庁間協議は相互に確認したうえで議事録に残すという内閣官房の方針に対する批判記事である。記事は、互いに都合の悪い内容が削られ意思決定の過程が不透明になると指摘している。

あらゆる会議で冒頭の議題は「前回議事録の確認(confirmation of the minutes of the previous meeting)」である。参加者は議事録(案)を読み間違いがあれば指摘する。そののち参加者全員の合意で前回議事録が確定する。これは世界中で採用されている「ロバーツの会議規則」が規定する方法である。

もし前回会議で参加者の意見が一致しないことがあったら議事録はどう書くのだろう。「Aは××と主張しBは反対した。次回の会議でさらに議論することになった。」と書けばよい。ロバーツの会議規則は、一方に都合が悪い合意していない内容は議事録に記載しないというものではない。

省庁間での協議について相互に確認したうえで議事録を作り保存するという内閣官房の方針は「ロバーツの会議規則」に一致する。獣医学部の新設に文部科学省が反対したのであれば、議事録にそのことを記載すればよい。議事録があれば、いつ文部科学省が折れたか後から知ることもできる。他に確認しないで作成された文部科学省の内部文書には自省に都合のよいことしか書かれていないかもしれないし、実際それを基に野党が安倍政権を追求したので国会が混乱した。

「ロバーツの会議規則」は、国際連合などでの国際交渉にも企業間での提携交渉でも、あらゆる会議で基本的なルールとして採用されている。そのような規則を批判するのは、いくら反安倍が社是でも筋が悪すぎる。