政治状況について様々な報道がありますが、たとえ解散総選挙になったとしても政府の仕事は続きます。
先日、「放送を巡る諸課題に関する検討会」が開催されました。
「放送を巡る諸課題に関する検討会」は下記のような目的で昨年秋からスタートしており、視聴データの利活用に関するガイドラインの作成など成果を出してきています。
背景・目的
近年、情報通信技術の進展により、新しい放送サービス・機器の登場及び魅力ある地域情報の発信は、日本の経済成長の牽引及び地方創生の実現に貢献するものとして期待されている。また、国内はもとより諸外国においても、ブロードバンドの普及はインターネットでの放送番組の動画配信など放送コンテンツの視聴環境に変化を生じさせ、視聴者の様々なデバイス(機器)によるコンテンツの視聴ニーズも大きくなっている。
このような環境変化等を背景として、放送に関する諸課題について、(1)日本の経済成長への貢献並びに市場及びサービスのグローバル化への対応、(2)視聴者利益の確保・拡大等の観点から、中長期的な展望も視野に入れた検討を行うことを目的として、本会を開催する。
残る重要テーマは放送コンテンツのネット配信における権利処理、NHK放送のネットによる同時配信です。
今回はNHKのネット同時配信がメインの議題となりました。
この件については以前から民放を中心に批判が多く、議論が進んできませんでした。
その背景にはスマホで動画を見ることが当たり前になっている視聴者が、 安定した受信料収入を元に高いコンテンツ制作能力を持つNHKのネット配信に奪われるのではということがあります。
もちろん、民放がネット同時配信をする場合、規制はありませんので民放も配信をすればいいのではという議論があるのですが、設備投資の大きさに対し、広告収入が中心の民放にとってネット配信による収益モデルが構築できていないという苦しさがあります。さらに地方局への影響も少なくありません。
その一方で、Netflixなど海外のネット配信事業者のビジネスが積極的に展開されており、対抗していかねばならないという焦りもあるのです。
なお、本件については高市総務大臣時代に下記の3条件が提示されています。
特にこの機会に(2)のNHKの既存業務については、民放や視聴者から公共放送として認められるよう見直しが必要です。
(1)同時配信を放送の補完として視聴者から十分支持を得て実施する(2)NHKの既存業務が適正か幅広く検討する(3)関連団体への業務委託時の透明性と適正性をさらに高める
なにより重要なのは、決して小手先の議論にすることなく、国民、視聴者にとって何が良いことかを中心に据えて考えることです。同時に、この機会に日本国内のマーケットだけを見て対立するのではなく、世界の大きなマーケットへ日本の放送コンテンツをどう展開するかという成長戦略を逃げずに考えるべきです。
そのために整理すべき課題をこの議論を通じて解決していきたいと思います。
編集部より:この記事は、総務政務官・衆議院議員、小林史明氏(自由民主党、広島7区選出)のオフィシャルブログ 2017年9月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林ふみあきオフィシャルブログをご覧ください。