大学生の採用活動に建前は要らない

世の中選挙一色だが別の話題。日経電子版に『就活探偵団』という連載がある。先日の記事『内定者の中にインターン生がこんなに 驚く現実』には本音があふれていた。

「内定者の中に自社のインターン参加者がいた」企業が72%、そもそも「インターンを採用目的で実施している」企業が23%という調査結果を記事は紹介する。経団連加盟企業であっても5月までに「面談」と称した実質的な面接を実施し内々定を出す場合があったと伝える。しかし、経団連加盟企業に正面切ってこのことを聞くと否定するという。

インターンを採用活動に直結させない、6月まで採用活動をしないという建前の経団連加盟企業も、外資や非加盟企業によい学生を取られないために本音では採用活動を先行してスタートする。大学で学生の様子を見ても、実態は本音の側にある。守られることがない「採用選考に関する指針」を経団連はなぜ定め、加盟企業に守るように建前で求めるのだろう。経団連会長の記者会見要旨には6月からの採用活動は「全体的には評価する声も多い。」とあるが、本当だろうか。

統計にあるようにわが国で従業員数1000名以上の企業に勤める者は2割以下である。外資や中堅・中小企業に就職し、あるいはスタートアップ企業で新しいビジネスに挑戦する大学生も多い。経団連に加盟する大企業もこんな動きを無視できないから、建前とは異なる採用活動を行う。

「右へならえ」の傾向がある大企業も守っていないのだから、「採用選考に関する指針」を廃止して、いつでも採用活動できるとしよう。それで大きな混乱が生じたらそのとき再考すればよい。