明日、ようやくシカゴに戻る。やっぱり疲れた。今年は、あと4回日本に戻る予定だが、考えるだけで、気が重くなる。シカゴは、異常気象で来週も気温30度を超えそうだ。しかし、今が踏ん張りどころだ。人に任せると、後始末が大変な状況が生ずるので、自分で頑張るしかない。
そして、日本滞在の間、日本の政治は大きく揺れ動いている。「希望の党」ができたと思ったら、民進党が「希望の党」に合流するという。結局は議員の立場を維持したいだけなのかと誰もが思ったに違いない。規模がはるかに大きい党が、出来立てのわずか10人程度の党に合流するというのは驚きだ。政策も、人間としての誇りも何もないことが歴然とした。「言うだけ番長」の面目躍如だ。
そして。議員だけでなく、一部の新聞まで「安倍政権打倒」と意味もなく叫んでいる。しかし、野党がどんな国つくりを目指しているのか、全く見えない中で、如何にも左翼的だ。安倍内閣頑張れだ。北朝鮮がミサイル発射を繰り返し、今日も準備中というニュースが流れている中、安全保障をどうするのか?ミサイルが日本の上空を通過し続ければ、いつ、不測事態で日本にミサイルそのもの、ミサイルの欠片が落ちてもおかしくないはずだ。平和ボケも極まれりだ。
流動的だが、小池百合子さんもなかなかしたたかだ。民進党のリベラル(左寄り)を公認すれば、烏合の衆と見られ、マイナスに作用するのを読んでいるようで、一部の議員を「排除する」と明言していた。どう考えても、辻元清美さんが、小池百合子さんと一緒の党にいるのは、誰が見ても違和感があるので、しがらみを引きずらないためには、重要な決断だと思う。
また、憲法改正を認めない議員が、選挙のために自分の節を曲げるのは、人間としておかしいだろう。国の基本に対するスタンスが違うなら、小池新党に合流するのは、自ら辞退すべきと思う(今、ニュースで辻元さんは無所属で出馬すると紹介されていた。断られるとわかっていて、プロポーズする人はいないだろうし、当然だ)。今の時代に、国家安全保障を議論もしない政治家などあり得ないだろうし、安全と叫んでいて、安全が保障されるはずもないなど、子供でも分かるロジックだ。
そして、政権選択選挙を謳うならば、勝った時に、誰が総理大臣になるか明確にすべきではないのか?本気ならば、自ら立候補すべきだが、都政を投げ出す無責任さを責められるのは必然だ。そこまで、大きな博打が打てるかどうかで勝負が決まるような気がする。混乱はあるだろうが、何も決められない政党がなくなる方が、すっきりする。誰も民主党政権のような政権には期待していない。しかし、小池劇場は、なかなか、ドラマティックだ。
もし、間違って希望の党が過半数を取れば、間違いなく混乱は生ずる。そうなれば、また、官僚のやりたい放題の世界が広がるだろう。総理大臣は投票で変えることができるが、面従腹背の官僚は、政治が弱ければ、面従しながら、平気で自分の思い通りにする。やはり、私は、安倍内閣頑張れだ。
編集部より:この記事は、シカゴ大学医学部内科教授・外科教授、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のシカゴ便り」2017年9月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。