小池さんには初めから今回衆院選で勝負する気なんて無い

水谷 翔太

いやー、みんなまんまと小池さんに騙されていると思うんですよね。

 

事情通の記者の話を総合すると、小池さんの求めている流れはもともと「ジャブからのストレート」とのこと。

政権交代を目指しているように聞こえるけど、「政権交代」を狙っているわけではありません。

今回の衆院選で一定数の国会議員を出しておき、次の衆院選までに自公過半数割れを達成するための仕掛けを作ることが狙いです。

「勝てる戦」に徹する、まさに小池流です。

自公過半数割れが起きたらキャスティングボートが握れるので、つまり、そのタイミングで首相を狙いに行くということです。

 

今回の衆院選で自分が出馬すればさすがに都政投げ出し批判で失う票も多い。そんなことは、初めから百も承知なのです。

前原さんら政権交代の「味」を知っている民進出身の大物議員が「今ならいける」と勝手に焚きつけただけ。こんなの当然スルーして当たり前。

というか、「お前、私の目論見を全然わかってないな」と、かえって信頼を失する結果になったのではないかと思います。

今回の衆院選は小池さんにとってはあくまでも「ジャブ」。

有象無象も巻き込みながら大量に候補擁立しておき、数十人当選させ、一定のプレゼンス(存在感)を確保しておくことが目的に過ぎませんでした。

突然の解散で時間がないのもあるし、政治家としての「質」。器なんて気にしてたら「数」にはこだわれません。

ブログでごちゃごちゃ意見を述べる音喜多くんのような人物より、都議会都民ファーストの会幹事長についた荒木都議(当選1回目)のような「元自分の秘書」あるいはそれに準じる従順な候補者をどれだけ集められるか。ここが勝負でした。

なので、早々233人の候補を擁立する方針を示すことから希望の党はスタートしました。

結果的に233人の候補者擁立はかないませんでしたが、いわゆる「踏み絵」で従順度をはかり、自民、民進、維新など複数の政党出身者と同数程度の新人も含め、短期間でおよそ200人の候補擁立に成功。

されど、あくまでも「数」重視。先日、私の記事でもお伝えしたように、大阪で極めて怪しい仮想通貨を販売していた候補、かつての東北震災で数千人がなくなったという情報を流していた候補、TwitterなどのSNSで有権者に平気で喧嘩をふっかける候補など、危なっかしい面々がそろっています

※ちなみに仮想通貨を販売されていた候補はブログでの当該記事を削除。現時点まで特に何の説明もしておられません。

けれどそんなことは大勢にはまったく影響しないと余裕しゃくしゃく。
選挙後連中が頑張って結果を出そうが、へまをして党勢に陰りが出ようと知ったこっちゃないと思っているのでしょう。

引っ張って引っ張って、自分のニュース価値を今以上に高めて、次の衆院選で「私が出る」というカードを切れば、情勢は一気にひっくりかえせるという自信を小池さんは持っているからです。

こんなことも考えず、ただひたすらに「今回小池さんが出馬するんじゃないか?」とか「政権交代選挙になるか」とのたまわってたマスコミ、関係者は自分たちの妄想で勝手に騒いでいただけですね。

そして、そんなマスコミの妄想に乗っかってた多くの有権者は「あれ、小池さんも出馬しないし立憲民主党とかも出てきてるし思ったより激しい展開にならないなー」と思い始めてる頃だと思います。

実際、最新の世論調査でも希望の党の支持率は6ポイントほど下落しました

 

小池さんからは全部想定の範囲内。

「希望の『風』」がえらいことになる、どこでも風で勝てる!!」とスケベ心だして、思い切って党を捨てて地元選挙区を捨てて参画した落下傘候補は涙目かもしれませんが、親分からしたら何もかもが想定内なのです。
誰でもいいから3分の1、4分の1受かりくらい受かれば無問題。

大敗でさえなければ、次の衆院選で自分が出て本格的な風を吹かせられる。

そして自公過半数割れを起こし、自らがキャスティングボートを握って首相の首班指名で成り上がればいっちょあがり。

無理はしない。勝てる戦にこだわり勝てるときにこそ確実に仕留めにかかる。

そんなところではないでしょうか。

間違いなく、いま日本で最も政治闘争が強い政治家でしょう。

<水谷翔太>

前大阪市天王寺区長、株式会社Field Command’s Triumph 代表取締役

昭和59年9月9日生 早稲田大学政治経済学部卒業後、日本放送協会(NHK)に記者として入局。政治行政、経済、司法等幅広く取材。その後平成24年8月に橋下徹大阪市長が実施した公募試験に合格し、史上最年少(当時27歳)で天王寺区長に就任。行政区として史上初の子育てバウチャーを発行したり、softbankから協力を得て中高生向け即興型英語ディベートスクールを開講したりと先進的な施策を手がけた。 平成28年3月に任期満了をもって退任後は大阪市内に個人事務所を構え、公的機関、企業、病院の企画立案・執行、メディア対策支援にあたる他、講演活動等に取り組む。
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